先日、息子のミニバスの試合で審判を担当した際、一般ルールとの違いが分からず戸惑いました。
その結果、初歩的な運用ミスを繰り返してしまい、子どもたちに迷惑をかけてしまいました。
この経験をきっかけに、「しっかりルールを理解しなければ」と思い、改めて勉強することにしました。
目次
【一般と異なるミニバスのルール一覧】
ミニバスのルールブックには、P2の「はじめに」で次のように記されています。
日本国内のU12カテゴリー(小学生)で行われるミニバスケットボールでは、対象年代の特性を踏まえ、一部の条項がバスケットボール競技規則と異なります。
ミニバスケットボールで規定しない項目、また相違点は以下の通りです。
▽規定しない項目
- フロントコート/バックコートに関する規定
- スリーポイントラインおよびエリアに関する規定
- ノーチャージセミサークルに関する規定
- スローインラインに関する規定
- 第4Qおよび延長で残り2分以下のゴール成功時にゲームクロックを止める規定(タイムアウト後のスローイン位置の選択や交代時機を含む)
- キャプテンに関する規定
▽相違点がある項目
- コート、用具・器具に関する規定
- 出場とゲーム成立、没収の条件
- 競技時間、インターバル、オーバータイム
- 24秒ルール、ショットクロックの扱い
- タイムアウト
- 交代
少し分かりやすく整理するため、以下の4項目に分けて解説します。
- 2024年から段階的に導入され、2027年4月から完全適用となるルール
- 選手登録と出場に関するルール
- 一般と異なるその他のルール
- ファウルに関する基準
【2024年から段階的に導入され2027年4月から適用確定のルール】
ボール、リングの高さ、3Pが該当します。
大会によって導入時期が異なりますが、2027年4月の完全移行を目指しています。
▽スリーポイントライン
・3P
ミニ:なし(⇢2027年4月までに「あり」が適用)
一般:あり(第2条 コート:2-5-4)
・3Pラインの距離
ミニ:5.75m
一般:6.75m
主な理由
・コートのサイズにより歪な3Pラインになる可能性があるため。
・育成面で無理なロングシュートを避け、正しいフォームを維持するため。
変更理由
・シュートレンジの多様化を促進
・ファイブアウト戦術の推奨
▽ボールの大きさ
ミニ:5号 → 6号(中学生女子と同サイズ)
一般:7号
▽リングの高さ
ミニ:260cm → 305cm
一般:305cm
【選手登録と出場について】
ミニバスは「より多くのプレイヤーに出場機会を与える」ことを目的に、独自の出場ルールを設けています。
▽選手登録
ミニ原則:10~15人(大会により異なる)
ミニ特例:8~9人
一般:5~15人(大会により異なる)
(第4条 チーム:4-2-1)
ざっくり言うと「チームに所属する選手は必ず登録し、10人以上登録したら全員を1Q以上出場させる」ことが原則です。
8~9人の場合は特例が認められますが、意図的な登録外しは失格扱いとなります。
▽交代
ミニ原則:3Qまでに10人以上が1Q以上出場(3Q連続出場は不可)
ミニ特例:全員が1Q以上出場(3Q連続出場も可)
一般:自由
【一般と違いがあるその他のルール】
▽バックコートバイオレーション
ミニ:なし
一般:あり(第30条)
ミニにはフロント/バックコートの概念がありません。狭いコートでもプレーが続けられるよう配慮されています。
▽8秒ルール
ミニ:なし
一般:あり(第28条)
▽ノーチャージセミサークル
ミニ:なし
一般:あり(第2条:2-5-7)
一般ではゴール下に半円があり、その内側ではディフェンスファウルになりますが、ミニにはこのラインがなく、正面衝突はオフェンスファウル扱いになります。
▽スローインライン
ミニ:なし
一般:あり(第17条:17-2-4)
ミニにはフロント・バックコートの概念がないため、L2M(残り2分)の前進スローインもありません。
▽L2Mシュート成功時のタイムストップ
L2Mとは第4Qおよび延長時の残り2分を切ってから(ラスト・ツー・ミニッツ)のことです。
この時間帯では、一般ルールではゴールが成功するとゲームクロックが自動で止まりますが、
ミニバスではこの規定が適用されず、シュートが決まっても時計は止まりません(ランニングタイム)。
ミニ:止まらない
一般:止まる(第8条 競技時間、同点、オーバータイム:8-1)
▽L2Mシュート成功時の交代
ミニ:できない
一般:できる(第8条:8-1)
ミニバスには「L2M(ラスト2分)」という概念自体がないため、
この時間帯におけるタイムストップや交代の権利も発生しません。
▽キャプテン
ミニ:いない
一般:いる(第6条)
ミニでは全員がリーダーを経験する設計であり、審判とのやり取りはコーチが行います。
▽オウンゴールの処理
ミニ:「▲」と記載
一般:相手チームキャプテンの番号を記載
▽コートサイズ
ミニ:28~22m × 15~12m
一般:28m × 15m
▽フリースロー距離
ミニ:4.6m
一般:5.8m
▽試合時間
ミニ:6分×4Q(OT3分)/Q間1分・HT5分
一般:10分×4Q(OT5分)/Q間2分・HT15分
▽24秒リセット
ミニ:常に24秒
一般:14秒/24秒/残り時間(第29条)
オフェンスリバウンド後のリセットはミニも一般も14秒です。
▽ゾーンディフェンス
ミニ:禁止
一般:あり(第4章)
▽ファウルの基準
ミニ:安全・教育・経験を重視
一般:競技性・戦術・公平性を重視
ミニでは「アドバンテージ・ディスアドバンテージの原則」は参考にとどめ、
何よりも子どもの安全と教育的指導を優先します。
審判の笛は“教えるための笛”であり、勝敗を決めるための笛ではないという考え方です。
【参考資料】

曖昧だった部分がすべてクリアになり、ルールやファウルの基準だけでなく、
その背景や考え方まで理解できました。
次からは、自信を持って笛を吹けそうです!