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スクラム・スイッチ/scram switchって何?バスケットボール用語

【スクラム・スイッチ/scram switch】

スクラム・スイッチとは、スイッチにより発生したミスマッチを別のオフボールマンとスイッチすることで解消するディフェンスのことです。
スクラム(scram)を直訳すると、『肩を組む、(比喩的に)一致団結する』という意味です。

【スクラム・スイッチの流れ】


オフェンスのCが、ディフェンスのGに対してオンボールピックにいきました。
ディフェンスはファイトオーバーを試みましたが、最終的にスイッチを選択し、ミスマッチの状態になりました。

オフェンスのCが高さのミスマッチを活かそうと、ゴール下に押し込もうとします。
ボールがパスフィードされたタイミングで、ヘルプサイドから高さのあるディフェンスがヘルプにきました。
そのままGのディフェンスはヘルプサイドにスイッチされたマークマンを探しに行きます。
もう一人のディフェンスが指差しで、マークするプレイヤーを教えています。

ミスマッチを狙ってポストフィードされましたが、ミスマッチが成立せず。
アドバンテージがないままオフェンスが攻めて、シュートは失敗しました。

【スクラム・スイッチの別称】

スクラム・スイッチは、トリプル・スイッチとも呼びます。
三人のディフェンスが絡むスイッチ・コンビネーション・ディフェンスだからです。
また、スクラム・スイッチは、キックアウト・スイッチとも呼びます。
ポストに押し込まれたGディフェンスが二回目のスイッチでキックアウト(外に蹴りだす)するからです。
比較的、新しい戦術のため、呼び名も統一されていないのかもしれませんね。…

リーク・アウト/leak outって何?バスケットボール用語

【リーク・アウト/leak out】

リーク・アウトとは、ディフェンスでスクリーンアウトせずに、速攻を狙って先走りすることです。
リーク・アウト(leak out)を直訳すると、『漏れる(もれる)』という意味です。

参考:てらこやNBA♯17 戦術:リムラン

【リークアウトが発生しやすいシチュエーション】

リークアウトが発生しやすいシチュエーションは、ロングクローズアウトの時です。
オープンのプレイヤーに対して、ダッシュで詰めてから思いっきりジャンプをしてチェックをしないとプレッシャーがかけられない状態です。
思いっきりジャンプしているので、着地の位置もオフェンスより後方になり、ジャンプで前に進んだ勢いを使って、速攻に先走りします。

【スクリーンアウトが全てではない】

シュートに対して飛んではいけない。
スクリーンアウトをさぼって速攻に行ってはいけない。
リークアウトのプレイは今まではNGとされてきました。
しかし、必ずしも悪いプレイとは言い切れません。

例えば、相手が名シューターでオープンシュートがほとんど入ってしまう場合、スクリーンアウトにいけなくても全力でシュートチェックのためにジャンプする方が失点期待値は下がります。
また、すでに相手よりも遠いところにいる状態からスクリーンアウトに行こうとしても、相手の方が内側なので間に合いません。
さらに、リバウンドの強いビッグマンが味方チームにいて、ディフェンスリバウンドを取れる可能性が高いなら任せても大丈夫です。
総合的に考えたら、少しでもシュートが落ちるように思いっきりジャンプチェックすることでディフェンスレーティング(失点期待値)を減らし、スクリーンアウトを諦めてリークアウトに移行し、先走りでワンマン速攻を狙うことでオフェンスレーティング(得点期待値)をあげ、ネットレーティング(得点-失点期待値)を上げることを目指します。

【先走りを選択する】

いつも参考にさせて頂いてる小谷究先生の名著『バスケセンスが見につく88の発想』では「先走りを選択する」という項目でリークアウトを新しい発想として解説しています。

勿論、カテゴリーの違いによるシュート力・リバウンド力の差や、チーム方針もあるので、5人でスクリーンアウトを基本とするのは間違いではありません。
それでも、「リークアウト=悪いプレイ」という固定観念は振り払っても良いと思います。
個人的にもシュートに対しては飛ばないよう指示をしていますが、ディフェンスリバウンドが強い場合はスクリーンアウトせずにリークアウトをするよう指示することもあります。…

ハンマー・セット/hammer setって何?バスケ用語、フォーメーション

【ハンマー・セット/hammer set】

ハンマーセットとは、ボールサイドのベースラインドライブに合わせて、ヘルプサイドがスクリーン&フレアカットし、コーナースリーを狙うコンビネーションオフェンスのことです。
ハンマー(hammer)を直訳すると、『金槌(かなづち)』という意味です。

ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリのビッグスリーが活躍したサンアントニオ・スパーズ時代の代名詞的なセットプレイとなります。
ハンマーセットで3Pが成功した際は、アナウンサーが「バンッ!」とハンマーを叩いた擬音を発していたそうです。

【アライメント&ムーブメント】


ハンマーセットに直接的に関わるプレイヤーはボールサイド側でドライブする一名とヘルプサイド側の二名となります。


ボールマン(1)がベースライン側にドライブするプレイに合わせて、逆サイドのインサイド(5)がアップスクリーンをして、同じく逆サイドのウイング(2)がフレアカットします。
1は逆サイドのコーナーにパスをして、3Pの中でも最も距離が短いコーナーでオープンスリーをうつことが可能となります。

〇なぜ2がフリーになるのか?

1の1on1ドライブでレイアップまで持っていけるならば、5ディフェンスはヘルプに行く必要があります。
すると、逆サイドではオフェンス2と5を、ディフェンス2だけで対応しないといけなくなります。
オフェンス5がしっかりとスクリーンをかけることができればネイキッドスクリーン(スクリナーにディフェンスがいないスクリーン)なので、2がコーナーでオープンとなります。

〇残りの3と5は?

ここで重要なのは、ハンマーセットに直接関わらない残り二名のポジションです。
ハンマーセットのエントリー前にAIやZIPを挟んだりと、色々ありますが、エントリーする段階でのアライメントは大体一緒です。

3はボールサイドにいて、ハンドオフで1にボールを渡します。
4はトップに残って、積極的なスペーシングを取ることで他の四人の邪魔をしません。
または、4がハンドオフをした3にスクリーンをかけて、3にフレアカットさせます。(ピストルアクションの形)

残りのオフェンス二枚が1のドライブと2のフレアカットの邪魔をしないようにポジショニングするのが、ハンマーセット成功のコツとなります。