(前編)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
(後編)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
(結果)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
(比較)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
B3のPERのデータってどこにもないですよね?(あるのかな?)
なので、PERにチャレンジしました!
2021-22シーズンを対象にB3の全選手で計算してみます。
ちなみにB1ではRealGMというサイトでPERを確認できます。
また、PERを解説しているサイトが複数ありますが説明を間違えている場合が多いです。
間違えているサイトはPERの説明なのにuPERの計算式しか書いてない場合や、順序を考慮せずに計算式だけを記載しています。
実際に一度算出してみないと、正しい計算式を理解できないと思います。
私が今回算出してみて、一番参考にさせて頂いたサイトは下記でした。
参考サイト:Basketball-Reference
目次
【PERとは】
PERとは、Plyaer Efficiency Ratingの略称で、直訳すると「選手の効率の格付け」となります。
ジョン・ホリンジャー(John Hollinger)氏が確立しました。
従来のEFFとの大きな違いとしては下記です。
・プレイタイムやペースが考慮されている。
・スタッツの種類に応じて、評価を変えている。(例、アシストは2/3点等)
・リーグ平均、チーム平均なども関わってくる。
・ファウルが減算評価されている。(EFFではファウルはニュートラルである)
・15.0が基準となっている。(EFFには基準値がない)
【計算方法の手順】
計算式は下記です。
少し複雑なので、手順を追って解説します。
(前編)
1、リーグ&チーム&プレイヤーのベーシックスタッツの算出
2、uPERの算出
(後編)
3、aPERの算出
4、PERの算出
【1、リーグ&チーム&プレイヤーのベーシックスタッツの算出】
まずは、リーグ平均、チーム平均、プレイヤー平均のスタッツを算出する必要があります。
B3においては公式サイトで合計(トータル)は出てますが、平均(アベレージ)が算出されていません。
なのでB3リーグから引っ張って、自分で算出する必要があります。
バスナビDBさんのデータをそのまま使うのもありです。
今回は四捨五入されていない、正確なデータで算出したかったので公式リーグから引っ張りました。
【2、uPERの算出】
uPERとは、unadjusted PERのことで未調整(未完成)のPERということです。
ここが複雑すぎて頓挫する人が多いのだと思います。
※当サイトでは便宜上小数点3桁までの表示とします。
〇factor(前提計算1)
factor = (2 / 3) – {0.5 * (lg_AST / lg_FGM)} / {2 * (lg_FGM / lg_FTM)}
factorとは、要因、要素のことです。
lg_AST:リーグの1試合平均アシスト数
lg_FG:リーグの1試合平均フィールドゴール成功数(FGM)
lg_FT:リーグの1試合平均フリースロー成功数(FTM)
B3(2021-22シーズン)で実際に計算すると、
factor = (2 / 3) – {0.5 * (lg_AST:17.8 / lg_FGM:30.3)} / {2 * (lg_FGM:30.3 / lg_FTM:13.5)}
factor = 0.601
〇VOP(前提計算2)
VOP = lg_PTS / (lg_FGA – lg_ORB + lg_TOV + 0.44 * lg_FTA)
VOPとは、Value of possessionの略です。
1ポゼッションあたり何点取れるかの期待値で、私はPPP(Points Per Possesion)と呼んでおります。
B3(2021-22シーズン)で実際に計算すると、
VOP = lg_PTS:82.1 / (lg_FGA:67.7 – lg_ORB:11.6 + lg_TOV:14.3 + 0.44 * lg_FTA:19.6)
VOP = 1.037
〇DRB%(前提計算3)
DRB% = (lg_TRB – lg_ORB) / lg_TRB
DRB%とは、ディフェンスリバウンド奪取率となります。
チームで算出する場合は、自チームのDREBと相手チームのOREBで計算します。
リーグ平均なので、ディフェンスリバウンド数÷トータルリバウンド数で簡単に算出できます。
B3(2021-22シーズン)で実際に計算すると、
DRB% = (lg_TRB – lg_ORB) / lg_TRB
↓シンプルにこっちで
DRB% = lg_DRB:27.7 / lg_TRB:39.3
DRB% = 0.704
〇team-ApFGM(前提計算4)
team_AST / team_FGM = team-ApFGM
フィールドゴールシュート成功に対するアシストの割合です。(アシスト・パー・フィールドゴールメイド)
「team_AST / team_FGM」という計算式がちょこちょこ登場します。
なので、事前にチーム別に算出しておいた方が良いかと。
岩手、AST:16.714、FGM:29.122、岩手team-ApFGM:0.574
埼玉、AST:21.500、FGM:31.955、埼玉team-ApFGM:0.673
A千葉、AST:21.864、FGM:32.295、A千葉team-ApFGM:0.677
八王子、AST:18.293、FGM:30.951、八王子team-ApFGM:0.591
品川、AST:15.863、FGM:27.078、品川team-ApFGM:0.586
横浜EX、AST:15.771、FGM:27.542、横浜EXteam-ApFGM:0.573
金沢、AST:13.440、FGM:25.500、金沢team-ApFGM:0.527
岐阜、AST:15.917、FGM:29.229、岐阜team-ApFGM:0.545
静岡、AST:20.756、FGM:32.667、静岡team-ApFGM:0.635
アイシン、AST:13.938、FGM:29.708、アイシンteam-ApFGM:0.469
豊田合成、AST:17.583、FGM:29.521、豊田合成team-ApFGM:0.596
岡山、AST:19.535、FGM:32.093、岡山team-ApFGM:0.609
山口、AST:18.000、FGM:28.865、山口team-ApFGM:0.624
長崎、AST:19.833、FGM:36.438、長崎team-ApFGM:0.544
鹿児島、AST:20.149、FGM:33.000、鹿児島team-ApFGM:0.611
〇uPER
計算方法は下記となっております。
uPER = (1 / MP) * [ 3P + (2/3) * AST + (2 – factor * team-ApFGM) * FG + (FT *0.5 * (1 + (1 – team-ApFGM) + (2/3) * team-ApFGM)) – VOP * TOV – VOP * DRB% * (FGA – FGM) – VOP * 0.44 * (0.44 + (0.56 * DRB%)) * (FTA – FTM) + VOP * (1 – DRB%) * (TRB – ORB) + VOP * DRB% * ORB + VOP * STL + VOP * DRB% * BLK – PF * ((lg_FT / lg_PF) – 0.44 * (lg_FTA / lg_PF) * VOP)]
これを計算式に当てはめようとすると、意味不明の作業となります。
一回算出してみたのですが、出てきた数字が馴染みのない数字なので、正しいかどうか判断ができません。
なので、下記の形に一つ一つを切り分けて深堀りし、順番も入れ替えて考えました。
結果的には同じ数字だったので、無思考作業でも問題はありませんでした。(ミスには気づきにくい)
2021-22シーズン、チームは品川、選手は平良 彰吾で算出してみます。
【1行目:+真FGM】+ ( 2 – factor × team-ApFGM) × 個FGM
【2行目:+真3PM】+ 個3PM
【3行目:+真FTM】+ ( 個FTM × 0.5 × ( 1 + ( 1 – team-ApFGM) + (2/3) × team-ApFGM))
【4行目:+真AST】+ (2/3) × 個AST
【5行目:+真OREB】+ VOP × DRB% × 個ORB
【6行目:+真DREB】+VOP × (1 – DRB%) × 個DRB
【7行目:+真STL】+VOP × 個STL
【8行目:+真BLK】+VOP × DRB% × 個BLK
【9行目:-真シュートミス】-VOP × DRB% × 個FG失敗
【10行目:-真FTミス】-VOP × 0.44 × (0.44 + (0.56 × DRB%)) × 個FT失敗
【11行目:-真TOV】-VOP × 個TOV
【12行目:-真FOUL】- ((lg_FTM ÷ lg_FOUL) – 0.44 × (lg_FTA ÷ lg_FOUL) × VOP) ×個FOUL
【13行目:MIN】1行目~12行目の合計 ÷ MIN
↓
(真FGM + 真3PM + 真FTM + 真AST + 真OREB + 真DREB + 真STL + 真BLK – 真シュートミス – 真FTミス – 真TOV – 真FOUL)÷ MIN = uPER
↓解説
【1行目:+真FGM】+ ( 2 – factor × team-ApFGM) × 個FGM
FGM価値:1.648 × 平良FGM:4.354 = 7.175
FGM(フィールドゴール成功)からアシストの価値を引いた数値です。
3Pは別途加算するので、すべてを2Pとして計算しています。
【2行目:+真3PM】+ 個3PM
3PM付加価値:1.000 × 平良3PM:2.201 = 2.201
3PM(3P成功)の価値となります。
先ほどFGM分を計算しているので、FGMに上乗せした付加価値分となります。
よって、2PM価値1.648、3PM価値2.648となります。
【3行目:+真FTM】+ ( 個FTM × 0.5 × ( 1 + ( 1 – team-ApFGM) + (2/3) × team-ApFGM))
FTM価値:0.902 × 平良FTM:0.646 = 0.583
FTM(フリースロー成功)の価値となります。
計算式の根拠がやや不明ですが、追及しません。
【4行目:+真AST】+ (2/3) × 個AST
AST価値:0.667 × 平良AST:3.083 = 2.056
AST(アシスト)の価値となります。
アシストは1回につき0.667の価値となります。
【5行目:+真OREB】+ VOP × DRB% × 個OREB
OREB価値:0.732 × 平良OREB:0.563 = 0.412
OREB(オフェンスリバウンド)の価値となります。
【6行目:+真DREB】+VOP × (1 – DRB%) × 個DRB
DREB価値:0.306 × 平良DREB:1.688 = 0.517
DREB(ディフェンスリバウンド)の価値となります。
OREBが0.732、DREBが0.306の価値となります。
【7行目:+真STL】+VOP × 個STL
STL価値:1.038 × 平良STL:0.833 = 0.865
STL(スティール)の価値となります。
【8行目:+真BLK】+VOP × DRB% × 個BLK
BLK価値:0.732 × 平良BLK:0.042 = 0.030
BLK(ブロックシュート)の価値となります。
BLKの後はリバウンドが発生するので、ディフェンスリバウンドダッシュ率(DRB%)を掛けて調整しています。
スティールとブロックで比較した場合、ブロックの方がインパクトは強烈ですが、スティールの方が確実にボールを奪えるので価値が高いということですね。
【9行目:-真シュートミス】-VOP × DRB% × (個FG失敗)
シュートミス価値(減算):-0.732 × 平良シュート失敗:5.979 = -4.374
ここからネガティブスタッツなので合計値から減算します。
フィールドゴールシュート失敗の減算となります。
FG成功加算が+1.648、FG失敗減算が-0.732となります。
【10行目:-真FTミス】-VOP × 0.44 × (0.44 + (0.56 × DRB%)) × 個FT失敗
FTミス価値(減算):-0.381 × 平良FT失敗:0.292 = -0.111
フリースロー失敗の減算となります。
FT成功加算が+0.902、FT失敗減算が-0.381となります。
【11行目:-真TOV】-VOP × 個TOV
TOV価値(減算):-1.038 × 平良TOV:2.229 = -2.314
TOV(ターンオーバー)の減算となります。
【12行目:-真FOUL】- ((lg_FTM ÷ lg_FOUL) – 0.44 × (lg_FTA ÷ lg_FOUL) × VOP) ×個FOUL
FOUL価値(減算):-0.230 × 平良FOUL:3.271 = -0.752
FOUL(個人ファウル)の減算となります。
ファウルは戦術的なナイスファウルもあるので、減算させるのは一概に良いとは言えませんね。
(スタッツごとの調整値を把握できたので、これを使って調整版EFFを作れますね)
【13行目:MIN】1行目~12行目の合計 ÷ MIN
uPER = (真FGM7.175 + 真3PM2.201 + 真FTM0.583 + 真AST2.056 + 真OREB0.412 + 真DREB0.517 + 真STL0.865 + 真BLK0.030 – 真シュートミス4.374 – 真FTミス0.111 – 真TOV2.314 – 真FOUL0.752)÷ 平良MIN23.000 = 【1~12行目合計】6.107 ÷ 平良MIN:23.000 = 平良uPER:0.266
尚、品川の全選手で算出してみました。
数値が高い順に並べてみます。
#13/チャンセラー・ゲッティーズ/uPER:0.455
#47/平良 彰吾/uPER:0.266
#23/フィリップ・アブ/uPER:0.259
#50/ジージオ・ベイン/uPER:0.245
#6/尾形 界龍/uPER:0.217
#0/関口 サムエル/uPER:0.162
#8/枡田 祐介/uPER:0.157
#10/清水 隆平/uPER:0.152
#11/長澤 亮太/uPER:0.103
#7/小川 京介/uPER:0.090
#55/伊澤 実孝/uPER:0.066
#24/鈴木 悠介/uPER:-0.009
#21/高橋 健太/uPER:-0.049
※参考(合計プレイタイムが少なく外しました)
#22/ミトロヴィチュ・アレクサンダ/uPER:0.469
#69/藤村 祐輔/uPER:0.312
#91/大原 侑之/uPER:0.216
#12/高山 瑠晟/uPER:-0.129
数字の差が小さすぎて、いいのか悪いのかわかりにくいですね。
ただ、順番に並び替えると実際の貢献度に近いイメージとなります。
(前編)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
(後編)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
(結果)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた
(比較)B3(2021-22シーズン)選手のPERを算出してみた