目次
【スポーツの意義と価値】
運動の喜びを共に分かち合い、感動を共有することである。
身体能力を洗練することである。
尊厳と尊重を委ねあう相互尊敬である。
【スポーツ指導者の役割】
〇スポーツを楽しむ権利を支える指導者
スポーツは全ての人々が楽しめる権利である。
指導者は楽しめる権利を支える立場である。
〇安全で正しく楽しいスポーツ活動の場を確保するために
スポーツの主役はプレイヤーである。
指導者は情熱を持ち、プレイヤーを最優先し、前向きに取り組む。
指導者は公平に接し、参加したくなる雰囲気をつくる。
指導者はプレイヤーの個性や長所を見つけ、伸ばす。
指導者はプレイヤーの健康状態に注意を払い、ケガや病気を起こさないよう配慮する。
〇指導者とプレイヤーの望ましい関係づくりのために
指導者は指導的立場にいることによって、プレイヤーより上位の権力を持つことになり、それを自覚することが大切である。
また、実績がある指導者ほど、依存度は高くなる。
指導者はプレイヤーを自立した個人と考え尊重し、プレイヤーから尊敬される相互尊敬の形が望ましい。
〇フェアプレイの実践
ルールを守り、公正に振る舞い、他者(審判等)を尊重するフェアプレイの行動。
自分の心に問いかけた時に恥ずかしくない判断ができるフェアプレイの精神。
〇スポーツと社会の結びつき
指導者とプレイヤーはスポーツで学んだフェアプレイを社会においても実践することで、スポーツの価値を高める。
【スポーツ指導者の心得】
〇プレイヤーが主役
スポーツには勝ち負けがあるので、指導者は勝利を優先したくなる。
しかし、フェアプレイや相互尊重が前提にあるので、勝利に価値がある。
・スポーツはプレイヤーが主人公であり、指導者はサポート役であることを認識する。
・プレイヤーが主体的に判断し行動できるように促す。
・プレイヤーの権利、尊厳、人格を尊重し、公平に接する。
・プレイヤーとの信頼関係を築きつつも、過度な主従関係や親密な関係は避ける。
・指導者だけでなく、プレイヤーや関係者のあらゆる場面に注意を払う。
〇指導者の持つ影響力を自覚する
・指導者はプレイヤーに対して権力を持っていることを自覚する。
・指導者による反倫理的な言動は、指導者の権力が原因であることを自覚する。
・指導者による反倫理的な言動は、プレイヤーの人権を侵害していることを自覚する。
〇反倫理的言動には適切に対処する
・あらゆる暴力やハラスメントをしない、許さない。
・いかなる差別的な言動をしない、許さない。
・反倫理的な言動を黙認や隠ぺいせず、速やかに対処する。
〇PATROL
Process:結果でなく、経過を重視する。
Acknowledgement:承認する
Together:一緒に楽しみ、一緒に考える
Respect:尊敬し、尊重する
Observation:観察する
Listening:話をよく聴く
【第四章:倫理的問題が起こらないように】
〇倫理的問題が生じやすい構造的要因
勝利主義は魅力のひとつだが、バランスが崩れると問題の原因となる。
〇スポーツ集団内の要因
・指導者とプレイヤー間の権力関係
・プレイヤー間の厳格な上下関係
・勝利至上主義
・集団主義
〇スポーツ界全体の要因
・男性中心的な風潮や制度
・競技成績が進学や就職に役立つ
・スポーツ社会の閉鎖的環境
〇表面化しにくい倫理的問題への対応
反倫理的な言動が生じた場合、被害者は拒否する意思表示ができないこともある。
しかし、受け入れているわけではない。
表面化させないよう組織内で隠蔽される恐れもある。
倫理的問題が生じた場合、被害者の立場を考慮し、速やかに対応することが不可欠である。
指導者は自分自身の言動のみならず、あらゆる場面で最大限の準備と対応をすることが求められる。
〇反倫理的言動
・身体的・精神的暴力及び言葉の暴力(殴る、蹴る、威圧する等)
・性暴力及びセクシャルハラスメント(強制わいせつ、性的虐待等)
・差別(年齢、性別、国籍、宗教等)
・不適切な指導(罰としての正座、怪我時のプレー強要等)
・ドーピング
・金銭的な事柄(不適切な経理処理、横領、贈収賄、便宜供与)
〇反倫理的言動がもたらす影響
〇対個人
・心身の悪化
・やる気の低下
・不眠症、抑うつ感、摂食障害
・スポーツや社会活動への参加減少、離脱
・競技成績や学業成績の低下
・自称行為、自殺
〇対集団
・集団内への不愉快な環境
・権利侵害や権力濫用の放置
・集団内のモラル低下
〇対社会
・スポーツ全体のイメージダウン
・集団や組織のイメージダウン
〇最後に
フェアプレイ宣言
私はスポーツを愛する者として、何事にも全力で取り組み、精神・肉体ともに成長させること(成長する)に努めます。
そして、フェアプレイを通じて、思いやり、誇り、努力、勇気を最大限に発揮し、その力を人に、地域に、社会のために生かしていきます。
そのための具体的な行動として、「握手、挨拶、ありがとう」を実践していくことを宣言します!