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コレクティブバスケットボールとは?〜指示ではなく読みの時代へ〜

横浜ビー・コルセアーズのインタビューでたびたび、コレクティブ・バスケットボールという言葉が登場します。
そして、2025-26シーズンの開幕で横浜BCが昨年準優勝の琉球ゴールデンキングスに二連勝を飾ったことで、色々なメディアのタイトルにも使われました。
浅く調べても分かりづらかったので、理解できるまで整理してみました。

【コレクティブバスケットボールとは?】

コレクティブ・バスケットボール(Collective Basketball)とは、全員が同じ判断原則を共有し、状況に応じて連動して動くチームスタイルのこと。
直訳すれば集団的なバスケットボールですが、単なるチームプレーとは異なります。
指示ではなく、共通の読みで自然に動けるチーム。
考えるチームから感じて動くチームへの進化とも言えます。
Bリーグでは横浜ビー・コルセアーズがこの哲学を掲げ、ラッシ・トゥオビHCがフランスのSIGストラスブールやフィンランド代表で体現してきました。

【歴史的背景:個から共有知へ】

コレクティブの思想は突然生まれたわけではなく、個からチームへという流れの中で発展してきました。

▽1950〜60年代:チームオフェンスの萌芽期

UCLAのジョン・ウッドン監督やプリンストン大学のピート・キャリルが生み出したモーション・オフェンス、プリンストン・オフェンスが礎を築きました。
スター依存から脱却し、全員がパスとカットでディフェンスを揺さぶる全体運動の時代へ。ここで初めて、チーム全員が一つの頭脳で動く発想が生まれます。

▽2000年代:ボールムーブメントの黄金期

サンアントニオ・スパーズが築いたBeautiful Gameは、コレクティブの象徴。
ポポビッチHCのもと、パーカー、ジノビリ、ダンカンが連携し、パス、ドライブ、キックアウト、エクストラパスが連鎖する美しい攻撃を確立。
戦術の美しさが称賛される時代となり、ボールが動けば心も動くという哲学が生まれました。

▽2010年代以降:ヨーロッパが理論化した集団知性

スペインのスカリオロ、セルビアのオブラドヴィッチらが、バスケットを集団知性として理論化。
選手全員が原則を共有し、瞬時に最適解を導くスタイルが進化しました。
フィンランド代表など北欧でも、自律と共有を両立する指導が広まりました。

▽現在:AIとデータがつなぐ共有知の時代

AIやトラッキング技術の発達により、選手の判断や動きを可視化・最適化する時代に。
NBAのSynergy SportsやSecond Spectrum、FIBAやBリーグでもデータを活用した戦術設計が進化。
コレクティブは戦術、心理、AI分析を統合した共有知の哲学へと発展しています。

【コレクティブを支える5つの原則】

▽判断の共有(Shared Decision-Making)

全員が同じ読みで動けるかが出発点。指示待ちではなく、原則(Rules of Play)に基づき自律判断。
ドライブが始まれば45度はカット、ポストに入れば弱サイドはフレアスクリーン。…