バスケ用語」カテゴリーアーカイブ

プレカン⇔ポスカン(バスケ審判用語)

【プレ・ゲーム・カンファレンス】

プレカンとは、プレ・ゲーム・カンファレンス(pre game conference)のことで、ゲーム前に行う審判同士での話し合いのことです。
プレカンの主な目的は、事前に情報を共有し、ゲーム運営をスムーズに行うことです。

プロの試合だと60~90分ほどのプレカンが行われるそうです。
クラブチームの区民大会だと、審判同士のプレカンはほとんどありませんが、個人的には1分でもいいので試合前にコミュニケーションをとった方がいいと思います。

〇プレ・ゲーム・カンファレンス例

区民大会レベルを想定したプレカンの内容は下記となります。
・軽い自己紹介、名前と主審副審の確認。(お互いの審判経験やバッジの有無、大雑把なレベル感の共有)
・最新のルール変更のすり合わせ。(最新ルールを適用する大会かの確認も含めて)
・試合の重要度の確認(トーナメントorリーグ、初戦or決勝戦)
・チームスカウティング(プレイヤーのクセの共有)

【ポスト・ゲーム・カンファレンス】

ポスカンとは、ポスト・ゲーム・カンファレンス(post game conference)のことで、ゲーム後に行う審判同士での話し合いのことです。
ポスカンの主な目的は、ゲームを振り返ることで気付きや学びを得て、次回に活かすことです。

クラブチームの帯同審判の場合は、審判直後に自分達のゲームだったり、チームで打ち上げをしたりと、なかなかポスカンをするのが難しいです。
例えば、東京都中央区の上位大会の場合は、登録審判(中央区公認審判)にならないと担当することができず、審判後には数分のポスカンを行います。
1試合の審判活動で最大限の学びを得るためには、ポスカンは必須作業だと思います。

〇ポスト・ゲーム・カンファレンス例

区民大会レベルを想定したポスカンの内容は下記となります。
・ルール適用が適切だったか?(最近だとテクニカルファウルの対応方法等)
・判定が適切だったか?(トラベリングやファウルなどの基準がロジカルだったか?)
・その他改善点(ブラインドができないポジショニング、コミュニケーションの取り方の確認など)

プリ・ローテート/pre rotateって何?バスケットボールディフェンス用語

【プリ・ローテート/pre rotate】

プリローテートとは、ローテーションの準備として、あらかじめ動いておくことです。

上画像の場合、黄色のディフェンスが、まだ青がノーマークになっていない状態で、(ブリッツをするので)ノーマークになることを予測し、あらかじめローテーションに行っています。
pre(プリ)を翻訳すると、「前の」です。
日本語だとプレと表現することが多いです。
rotate(ローテート)を翻訳すると、「交替する、回転する」です。
日本語だとローテーションと表現することが多いです。

【ローテーションとは】

プリ・ローテートの前に、ローテーションを説明します。

ローテーションとは、三線ディフェンスのヘルプによってノーマークになったオフェンスに対し、他のディフェンスが玉突き式にマークマンを変えることです。
上記の図で言えば、ボールマン③に対してX3がボールマンディフェンスとなります。
X4は、リング下で三線のうちリムプロテクションを担当します。
X2も三線となりますが、リムプロテクションとは別の役割となり、X4に合わせて動ける準備をします。
③に突破された場合、X4がリング下で待ち構えてファウルするとフリースローになる可能性があります。
よって、X4はペイントの外まで迎え撃てるのが理想となります。
するとX4がマークしていた④がノーマークとなるので、X2がポジションを下げて、④と②の両方に対応できる準備をします。
ドライブで抜かれたディフェンスを助けるX4の動きを「ヘルプ」と呼びます。
X4のヘルプで空いたオフェンスを埋めるX2の動きを「フィル」と呼びます。
狭義には、X2とX1のフィルの動きを「ローテーション」と呼びます。
広義には、X4のヘルプの動きとフィルを含めた全体を「ローテーション」と呼びます。
マークマンを二人の間で交換することで完結するスイッチはローテーションとは呼びません。

【プリ・ローテートの具体例】


ローテーション(ローテート)がノーマークが発生した後に動くのに対し、プリ・ローテート(ローテーション)は発生前に動くのが違いです。
プリ・ローテートがよく使われるのは、ピック&ロールディフェンスのブリッツの時です。
ボールマンに対してダブルチームに行くので、ピックマンがノーマークになります。
ピックマンがダイブしてくれればプリ・ローテートしてなくても対応できますが、ピックマンがポップアウトされるとプリ・ローテートでないと間に合いません。
ピック&ロールのカバレッジがブリッツだった場合は、三人目がプリ・ローテートすることをあらかじめ決めておかないと、対応できません。…

カバレッジ/coverageって何?バスケットボールディフェンス用語

【カバレッジ/coverage】

カバレッジとは、ディフェンスの手法のことです。

参考:てらこやNBA#34戦術:ハードショーでみるNBAの現代史 後編

カバレッジは、バスケットボール以外でもアメリカンフットボール(NFL)やアイスホッケー(NHL)など、アメリカ発祥のスポーツのディフェンスで使われる用語です。
バスケットボールでは、オンボールピックプレイに対するディフェンスの時に良く使われます。
coverage(カバレッジ)を翻訳すると、「補える範囲」です。

【vsストックトン&マローンのPnRカバレッジ】

現在のNBAでは、オフェンスの25%以上にPnR(ピック&ロール)が使われています。
1990年代はユタ・ジャズのジョン・ストックトン&カール・マローンのコンビによるピック&ロールが有名でした。

当時はカバレッジが確立されておらず、オフェンスのパターンが限定的だったにも関わらず、止めるのは困難でした。
1、マローンのダイブからのダンク
2、マローンのポップからのミドル
3、ストックトンのミドル
※プラスしてスリップ、リピック、リジェクトなども散見されますが、基本は上記の3パターンです。

これに対するディフェンスの対応は、ファイトオーバーを頑張る。
ファイトオーバーできない時はスイッチアップする。
つまり、ディフェンスも2対2で頑張る。
どうしてもノーマークが生まれたら、三線がヘルプにいく程度だったと思います。

現代のアイス&ドロップカバレッジを使えば、止めることは可能だったかもしれません。(全部は無理ですよ)
まず、ハンドラーディフェンスは、アイスでストックトンをウィークサイド側に追い込みます。
次にピックマンディフェンスはドロップで、ストックトンのドライブとマローンのダイブを両方ケアしながら守ります。
おそらくマローンはポップアウトしてのミドルシュートを狙ってきます。
それに対しては、あらかじめプリローテートした三人目のプレイヤーがインターセプト(少なくてもマローンにミドルをうたせない)を狙います。
マローンはプリローテートにきたディフェンスがマッチアップしていたノーマークのプレイヤーにパスを出すことが想定されます。
そこを玉突き式のローテーションで防ぎます。

ストックトン&マローンのピック&ロールで完結させるか?
三人目を絡めて、違う選手にポゼッションを使わせるか?
どっちの方が、ディフェンス目線で失点期待値が低いか?という選択肢になります。

【カバレッジの種類】

昔は、スクリーンプレイに対して、ファイトオーバー、スライドスルー、スイッチと三種類しか存在しませんでした。
現在は、下図のようにボールマンディフェンスの動きとスクリナーディフェンスの動きの組み合わせで細分化されています。

参照:バスケットボール研究第5号(日本バスケットボール学会、皆川孝昭様)

【オンボールピックは三人目が鍵】

現代のオンボールピックプレイは、オフェンスもディフェンスも三人目の動きが鍵となります。
ディフェンスは、三人目がプリローテートを出来るか?
オフェンスは、三人目がプリローテートさせないようにするか?またはフリーになって、パスをうけてオープンのシュートをうてるか?
ハンドラーは三人目の攻防を視野に入れて攻めるかことができるか?…