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勝利至上主義(行き過ぎたエゴオリエンテーション)からの脱却、タスクオリエンテーションの強化

【エゴオリエンテーションとタスクオリエンテーションの三行まとめ】
☑エゴオリエンテーションとは、人よりも優れていたいという自意識。
☑タスクオリエンテーションとは、何ができるようになったかを目的とする。
☑エゴオリエンテーションとタスクオリエンテーションを掛け合わせる。

先日、公認コーチ研修にてプレイヤーのモチベーションについて学びました。
ざっくりいうと、勝利を目指すエゴオリエンテーションと、成長を目指すタスクオリエンテーションについて学びました。
このふたつはバスケットボールをプレイする(携わる)モチベーションに密接にかかわり、間違えたモチベーションの上げ方はバーンアウトにつながる要因となってしまいます。
コーチデベロッパー(指導者養成委員会)は、タスクオリエンテーションの可能性を提案し、行き過ぎたエゴオリエンテーション(勝利至上主義)の改善に力を入れています。
勝利、優勝、全国大会出場などの実績は、対外的に評価されやすく、「大会成績の良いコーチ=グッドコーチ」として扱われることもあります。
しかし、大会成績が良いだけのコーチの中には、プレイヤーとの絶対的な主従関係を築き、暴言・暴力・ハラスメント・汚職・腐敗・ガバナンスの欠如など、多くの問題が孕んでいます。
特に育成年代のチームに関しては、プレイヤーをチームの勝利の為の駒として考えてはいけません。
プレイヤーの将来を考え、長期的な視点で発達段階および成熟度に合わせた指導をして、次の世代担当のコーチにバトンタッチしていく必要があります。
話は戻りまして、今回はモチベーションに影響を与えるエゴオリエンテーションとタスクオリエンテーションについて解説していきます。

【モチベーション(動機づけ)とは】

動機づけ(どうきづけ、motivation、モチベーション)とは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能のこと。
引用:wikipedia

ややこしいですね。
簡単に言うと「やる気スイッチ」のことです。
人に押してもらわないとモチベーションがあがらないやる気スイッチを「外発的動機づけ」と言います。
自分で押せる(押さなくても勝手に入る)やる気スイッチを「内発的動機づけ」と言います。

〇無動機づけ

無動機づけとは、内発的にも(自分でも)、外発的にも(他人からも)動機づけが行われていない状態です。
動機づけが行われていないので、行動に結びつきません。
例、プレイヤーがコーチから「ルーズボールを追え」と言われないので、ルーズボールを追わなかった。

〇外的調整

外的調整とは、報酬を受け取るためや罰を避けるためなど、外部からの期待や要請に従う動機づけのことです。
報酬や罰があるので行動しますが、なくなると行動しなくなります。
また、好きでしていた仕事に対して褒美を与えると、褒美なしではやらなくなってしまう現象をアンダーマイニング効果と言います。
例、プレイヤーがコーチから「ルーズボールを追わなかったらペナルティのダッシュだ」と言われたのでルーズボールを追った。

〇取り入れ的調整

取り入れ的調整とは、自尊心が傷つくことを恐れるがゆえに、外部からの期待や要請を内部に取り入れて自己内調整をして従う動機づけのことです。
外的調整に比べて、自我の関与が加わっていますが、結局は他人を気にして行動していることになります。
例、プレイヤーがルーズボールを追わないと、コーチやチームメイトの評価が悪くなるので、ルーズボールを追った。

〇同一化的調整

同一化的調整とは、外部からの期待や要請が自分にとっても大事だと思い、積極的に自己内に取り込んで、選択的に関与して行動する動機づけのことです。
このレベルになってくるとポジティブな要素が高まったと思います。
例、コーチが「ルーズボール」と声を出し、それを聞いたプレイヤーも重要だと思ったのでルーズボールを追った。…

2019年度JBA公認E級コーチ養成講習会(eラーニング)受講の勧め

2019年度よりコーチライセンス制度が改定され、JBA公認E級コーチ養成講習会はeラーニングにて受講していただくことになりました。
eラーニングでは、バスケットボールを指導する上で必要となる基本的な内容について学ぶことができます。
なお、JBA公認E級コーチライセンスはお申込から最短3日で取得することができます。

ということで、早速、受講し、資格を取得しました。
受講の仕方は、JBA公認E級コーチ(eラーニング)取得ガイドでご確認ください。

【JBAが養成したい理想のコーチ像】

JBAが養成したい理想のコーチ像とは、様々なコンテクスト(状況)の中で、プレイヤーやチームの潜在的能力を最大限に発揮させ、自分の能力を発揮・向上させることができるコーチとしています。
コーチからプレイヤーに教えるよりも、プレイヤーの学びや主体性を重視し、引き出すことです。
また、プレイヤーを理解し、固定概念にとらわれず柔軟な指導ができることです。

従来のコーチ像だと、豊富な知識があり、自分の美学をプレイヤーに教えることができる。
真っ白なキャンパスをコーチの理念色に染めて、ぶれることなく一貫したコーチの理念に染めることが良いコーチと見られがちでした。

従来のコーチ像の偏りが強いと、その世代では高いパフォーマンスを発揮することができるかもしれません。
しかし、バーンアウトを起こしスポーツが嫌いになったり、コーチの権限が強くなりすぎてパワハラにつながったりします。
コーチはプレイヤーの未来に触れる責任ある立場となります。
コーチ自らが学び、変化し、インテグリティを重視し、日本のバスケットボール界をより良くしていく理念を持つことが重要です。

【コーチライセンス制度】

コーチライセンスは下記の通り、3つのステージに分かれます。
強化:より競技力を高めたいプレイヤーを指導(S級・A級・B級)
育成:育成年代の指導に必要なライセンス(C級・D級)
普及:コーチライセンスのゲートウェイ、eラーニングで取得(E級)←今はここ



コーチライセンスの目的は、指導力の向上は勿論のことですが、組織化することで交流を促し、よりよいバスケットボール環境を提供できるようにするための素地となります。

【バスケットボールってどんなスポーツ?】

〇スポーツ本来の意味

スポーツとは、「運動+ゲーム」となります。
スポーツの語源は「楽しみ・遊び」です。
なので、勝利至上主義ばかりが正しいわけではありません。
コーチの指示に従ってやらされるのではなく、自発的に活動できるよう支援することがコーチにとって重要となります。

〇バスケットボールの価値

ファン:楽しむこと
パッション:なりうる最高の自分を追求する姿勢
チームワーク:結束し、協力・協同すること
リスペクト:様々な学びを提供してくれる全ての人々に感謝すること
インテグリティ:誠実さ、真摯さ、高潔さ

上記がバスケットボールの価値となります。
ここには、勝利という言葉はありません。

〇バスケットボールの特性

練習でチームに意識させていること【バスケIQ・インテンシティ】

【練習で意識していることまとめ】
☑感覚ではなく判断ができるようする。
☑集中力・強度の強い練習にする。

【練習で感じる違和感】

東京の社会人向けクラブチームだと、ほとんどがウォームアップ→ゲームの流れとなります。
ウォームアップはレイアップ、対面シュート、3対2、3対3。
あとはオールコートのツーメン、スリーメンがあるかどうか程度ですね。
上記の練習の最大の利点は説明が要らないということ。
どこ行っても同じ練習なので、だれでもすんなりフィットします。
説明が要らないので、体がスムーズに動けて、アップとしては最適です。
しかし、主に二点の問題を感じます。

〇試合のための練習ではない

「サッカー(バスケ)はカオスでありフラクタルである」
バスケはディフェンスが存在し、味方も想定通りに動かないカオス(混沌)のスポーツです。
なので、フリーのレイアップをジョグスピードでしても、試合には役に立ちません。
それどころか、アップのレイアップはリバウンドを取ってくれる人がいて、次にシュートをする人が迫ってくるので、自分でレイアップをリバウンドに行かない仕組みとなっています。
これが体に染みついている人は、試合でもレイアップを上に飛ばず、前に飛んでリリースし、入っても入らなくても、そのまま前方に通り過ぎます。
これは練習をうまくするための練習が、試合で下手にしている原因となります。

〇思考がない

どこ行っても、毎回同じ練習になると、バスケをする時に思考する習慣がつきません。
そうなると、感覚・感性だけでバスケをすることになります。
個の力だけで崩せる場合は、あまり問題ありません。
しかし、チームで崩す・守る必要があるとき、セットオフェンスやゾーンアタックの時には、思考(解決策と判断力)が必要となります。
感覚でミスをした時に思考を使わないと、感覚も上達しません。
無意識(無意識的無能)を有意識(有意識的有能)にし、有意識(有意識的有能)を無意識(無意識的有能)にすることで、感覚は研ぎ澄まされます。
なので、私はバスケIQ・インテンシティを意図的にチームに落とし込めるよう奮闘しています。

【バスケIQ】

バスケIQと言われても曖昧ですよね。
私は、バスケIQとは大きくわけて「知識」と「思考」の二つと定義づけしています。

〇知識

知識とは、課題解決の方法を知っているかどうかです。
例えば、2-3ゾーンを相手がしてきた時に対応策を用意できるかどうか?
対応策がダメだった時に、別の対応策を用意できるかどうか?

具体的に言うと、相手が2-3ゾーンにしてきた場合、オーバーロードで攻める方法を選択したとします。
オーバーロードとは、ギャップを意識して、1ガード、2ウイング、2ポストのアライメントでスタートします。…