コーチング」カテゴリーアーカイブ

クォーター別の戦い方~ゲームマネジメント~

バスケットボールは10分×4Qで一試合となります。
なので、序盤、中盤、終盤と全く同じことをするよりも、Qごとにゲームプランをデザインした方が勝率が高まります。
ゲームマネジメントなんて偉そうな言葉を使っていますが、要は受け身にならず、主体的にゲームのコントロールを試みるという考えです。
最近では、「デザイン」という言葉を使うことが多いですね。

1Q:見る

テーマは「観察」です。
プレーヤーには、「入り方が大事なので、最初の5分間はいつもより頑張ろう」と伝えます。
だけど、本当は、序盤の点差はあまり気にしません。
むしろ、結果的には序盤に負けていた方がよかったと思うことも多くあります。
例えば、序盤の調子が良くて、一気に10点差以上をつけると、それを実力の差と錯覚してしまうことがあります。
ちょっとずつ点差を縮められて、逆転された後も、「まだまだ大丈夫」と、悪い意味で、焦りを感じなくなってしまうことがあります。
反対に序盤に負けていると、もっとディフェンスとリバウンドを頑張らないといけないと、インテンシティを高めることができます。
なので、10点差までは、許容範囲としてみなしています。

代わりに、観察に重きをおきます。
自チームの動きはどうか?
緊張してるか?楽しんでるか?
相手チームは、事前のスカウティング通りのチームなのか?
審判のクセはどうか?
この情報を1Qから集めることができるか?それとも終盤や試合後に気付くかで、終盤の戦い方に大きな差が発生します。
私の場合は、正しい観察のためにも、一回目のタイムアウトは早めに要求する傾向にあります。
タイムアウト中に気付きをメンバーに共有し、手を加えることで、相手がどう対応するかで掴めることもあります。
早い時には、1ポゼッションでタイムアウトをとることもあります。

そして、クラブチームでは、参加してくれた全員にプレイタイムを与えたいので、なるべく1Qに全員を出しています。
スタメンの5人中1人ぐらいは、いつもスタメンではないベンチメンバーから抜擢することもおすすめです。

2Q:試す

第1Qで集めたデータをもとに、第2Qで変化を試みます。
例えば、第一Qで失点が20点以上であればディフェンスを変えます。
マンツーだったらゾーンに変えて、相手がどう対応するのか?

得点が15点以下であればオフェンスを変えます。
アウトサイド中心にして展開を速めるか?
インサイド中心にして確実に狙いに行くか?
もしリードしていれば、同点までは様子を見ます。
反対にビハインドであれば、点差を5点以上離されたら、すぐにタイムアウトをとって、戻しています。

変化をすることで相手が崩してくれることもあるし、最少失点で新たな情報を収集することも可能となります。
後半になって試すと、失敗した時のリスクが大きくなるので、何かを試す時は第2Qがベストとなります。

勿論、何もなく好調であれば、そのまま様子を見るのもありですが、余裕がある時には試せることは試すのをお勧めします。
経験則から「第2Qのあのプレイのせいで負けた」と思えるようなことは、過去にはありませんでした。

3Q:直す

前半仕入れた情報をもとに、自分達のバスケを改善します。
ハーフアップの長い休憩があるので、第3Q開始前は、冷静に時間をとってコミュニケーションをとることができます。…

勝利至上主義(行き過ぎたエゴオリエンテーション)からの脱却、タスクオリエンテーションの強化

【エゴオリエンテーションとタスクオリエンテーションの三行まとめ】
☑エゴオリエンテーションとは、人よりも優れていたいという自意識。
☑タスクオリエンテーションとは、何ができるようになったかを目的とする。
☑エゴオリエンテーションとタスクオリエンテーションを掛け合わせる。

先日、公認コーチ研修にてプレイヤーのモチベーションについて学びました。
ざっくりいうと、勝利を目指すエゴオリエンテーションと、成長を目指すタスクオリエンテーションについて学びました。
このふたつはバスケットボールをプレイする(携わる)モチベーションに密接にかかわり、間違えたモチベーションの上げ方はバーンアウトにつながる要因となってしまいます。
コーチデベロッパー(指導者養成委員会)は、タスクオリエンテーションの可能性を提案し、行き過ぎたエゴオリエンテーション(勝利至上主義)の改善に力を入れています。
勝利、優勝、全国大会出場などの実績は、対外的に評価されやすく、「大会成績の良いコーチ=グッドコーチ」として扱われることもあります。
しかし、大会成績が良いだけのコーチの中には、プレイヤーとの絶対的な主従関係を築き、暴言・暴力・ハラスメント・汚職・腐敗・ガバナンスの欠如など、多くの問題が孕んでいます。
特に育成年代のチームに関しては、プレイヤーをチームの勝利の為の駒として考えてはいけません。
プレイヤーの将来を考え、長期的な視点で発達段階および成熟度に合わせた指導をして、次の世代担当のコーチにバトンタッチしていく必要があります。
話は戻りまして、今回はモチベーションに影響を与えるエゴオリエンテーションとタスクオリエンテーションについて解説していきます。

【モチベーション(動機づけ)とは】

動機づけ(どうきづけ、motivation、モチベーション)とは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能のこと。
引用:wikipedia

ややこしいですね。
簡単に言うと「やる気スイッチ」のことです。
人に押してもらわないとモチベーションがあがらないやる気スイッチを「外発的動機づけ」と言います。
自分で押せる(押さなくても勝手に入る)やる気スイッチを「内発的動機づけ」と言います。

〇無動機づけ

無動機づけとは、内発的にも(自分でも)、外発的にも(他人からも)動機づけが行われていない状態です。
動機づけが行われていないので、行動に結びつきません。
例、プレイヤーがコーチから「ルーズボールを追え」と言われないので、ルーズボールを追わなかった。

〇外的調整

外的調整とは、報酬を受け取るためや罰を避けるためなど、外部からの期待や要請に従う動機づけのことです。
報酬や罰があるので行動しますが、なくなると行動しなくなります。
また、好きでしていた仕事に対して褒美を与えると、褒美なしではやらなくなってしまう現象をアンダーマイニング効果と言います。
例、プレイヤーがコーチから「ルーズボールを追わなかったらペナルティのダッシュだ」と言われたのでルーズボールを追った。

〇取り入れ的調整

取り入れ的調整とは、自尊心が傷つくことを恐れるがゆえに、外部からの期待や要請を内部に取り入れて自己内調整をして従う動機づけのことです。
外的調整に比べて、自我の関与が加わっていますが、結局は他人を気にして行動していることになります。
例、プレイヤーがルーズボールを追わないと、コーチやチームメイトの評価が悪くなるので、ルーズボールを追った。

〇同一化的調整

同一化的調整とは、外部からの期待や要請が自分にとっても大事だと思い、積極的に自己内に取り込んで、選択的に関与して行動する動機づけのことです。
このレベルになってくるとポジティブな要素が高まったと思います。
例、コーチが「ルーズボール」と声を出し、それを聞いたプレイヤーも重要だと思ったのでルーズボールを追った。…

2019年度JBA公認E級コーチ養成講習会(eラーニング)受講の勧め

2019年度よりコーチライセンス制度が改定され、JBA公認E級コーチ養成講習会はeラーニングにて受講していただくことになりました。
eラーニングでは、バスケットボールを指導する上で必要となる基本的な内容について学ぶことができます。
なお、JBA公認E級コーチライセンスはお申込から最短3日で取得することができます。

ということで、早速、受講し、資格を取得しました。
受講の仕方は、JBA公認E級コーチ(eラーニング)取得ガイドでご確認ください。

【JBAが養成したい理想のコーチ像】

JBAが養成したい理想のコーチ像とは、様々なコンテクスト(状況)の中で、プレイヤーやチームの潜在的能力を最大限に発揮させ、自分の能力を発揮・向上させることができるコーチとしています。
コーチからプレイヤーに教えるよりも、プレイヤーの学びや主体性を重視し、引き出すことです。
また、プレイヤーを理解し、固定概念にとらわれず柔軟な指導ができることです。

従来のコーチ像だと、豊富な知識があり、自分の美学をプレイヤーに教えることができる。
真っ白なキャンパスをコーチの理念色に染めて、ぶれることなく一貫したコーチの理念に染めることが良いコーチと見られがちでした。

従来のコーチ像の偏りが強いと、その世代では高いパフォーマンスを発揮することができるかもしれません。
しかし、バーンアウトを起こしスポーツが嫌いになったり、コーチの権限が強くなりすぎてパワハラにつながったりします。
コーチはプレイヤーの未来に触れる責任ある立場となります。
コーチ自らが学び、変化し、インテグリティを重視し、日本のバスケットボール界をより良くしていく理念を持つことが重要です。

【コーチライセンス制度】

コーチライセンスは下記の通り、3つのステージに分かれます。
強化:より競技力を高めたいプレイヤーを指導(S級・A級・B級)
育成:育成年代の指導に必要なライセンス(C級・D級)
普及:コーチライセンスのゲートウェイ、eラーニングで取得(E級)←今はここ



コーチライセンスの目的は、指導力の向上は勿論のことですが、組織化することで交流を促し、よりよいバスケットボール環境を提供できるようにするための素地となります。

【バスケットボールってどんなスポーツ?】

〇スポーツ本来の意味

スポーツとは、「運動+ゲーム」となります。
スポーツの語源は「楽しみ・遊び」です。
なので、勝利至上主義ばかりが正しいわけではありません。
コーチの指示に従ってやらされるのではなく、自発的に活動できるよう支援することがコーチにとって重要となります。

〇バスケットボールの価値

ファン:楽しむこと
パッション:なりうる最高の自分を追求する姿勢
チームワーク:結束し、協力・協同すること
リスペクト:様々な学びを提供してくれる全ての人々に感謝すること
インテグリティ:誠実さ、真摯さ、高潔さ

上記がバスケットボールの価値となります。
ここには、勝利という言葉はありません。

〇バスケットボールの特性