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ツー・フォー・ワン/two for oneって何?知ってると得するバスケ知識

【ツー・フォー・ワン/two for one】

ツー・フォー・ワン(two for one)とは、クォーターの残り40~50秒でオフェンスが開始された時、残り時間を30~35秒程度残してオフェンスを終え、ポゼッション(オフェンス回数)をもうひとつ増やすことです。
two for oneを直訳すると、二個で一個という意味です。
一個買えばもう一個無料とか、半額セールとかに使います。
ニュアンスとしては、「ここのオフェンスを早く使えば、もう一個無料でオフェンスがついてくるよ」って感じです。

【ツー・フォー・ワンの具体例】

例えば、40秒スタートで24秒使って攻めると、相手に16秒残してしまい、次のオフェンスができません。
しかし、10秒の早打ちで終えれば、相手が24秒を使い切っても、6秒残るので、シュートをうてる可能性があります。

期待値で計算すると下記の差になります。
残り時間40秒、10秒で攻めて、24秒で守り、6秒で攻めた場合
・24秒で攻めた場合の期待値を1.0点(10回中5回成功)とする
・10秒で攻めた場合の期待値を0.8点(10回中4回成功)とする
・6秒で攻めた場合の期待値を0.4点(10回中2回成功)とする

〇ツー・フォー・ワンで攻めた場合の期待値
オフェンス0.8 - ディフェンス1.0 + オフェンス0.4 = 期待値+0.2点

〇ゆっくり攻めた場合の期待値
オフェンス1.0 - ディフェンス1.0 = 期待値0点

私が勝手に仮定した期待値ですが、多少慌ててでも、ポゼッションを二回にした方が期待値は高くなります。
実際には私の仮定よりも高い期待値になると思います。
残り時間と点差と戦力を見て、ツー・フォー・ワンで攻めるのか、気にしないで攻めるのかを決定します。
変に意識しすぎてターンオーバーをしてしまうのは、もっとも悪い結果となりますので、くれぐれもご注意ください。
ツー・フォー・ワンの一回目のオフェンスは早うちで終えて、二回目のオフェンスはワンショットプレイに移行します。…

モチベーション不要論→正しいモチベーションを理解する

「モチベーションが下がってしまいバスケをやる気がしない」という発言。
社会人バスケあるあるですね。
今回はこの「モチベーション」について掘り下げてみます。

【正しいモチベーションを理解する、2019/7/27追記】

当記事は、2018/10/26時点の私の考えとなります。
当時はモチベーション不要論者でしたが、現在は様々なコーチと交流することで、モチベーションをポジティブに捉えるよう変化しました。
「モチベーションに左右されるな」はプレイヤー目線では素晴らしい考えかもしれませんが、コーチとしては「内発的動機付け」の仕事を放棄した怠慢ですね。
勝利至上主義(行き過ぎたエゴオリエンテーション)からの脱却、タスクオリエンテーションの強化

【モチベーションをあげてはいけない】

いきなりの暴論ですが、私は完全にモチベーション不要論者です。
コーチがプレイヤーに対して高めるのはモチベーション(感情)ではなくスタンス(考え方)だと思います。

例えば遅刻しないという概念。
社会人であれば、会社や取引先との時間に遅刻しないのが当たり前です。
しかし、遅刻しないのが当たり前という考えのない人にとって、間に合うようにするにはモチベーション(動機付け)が必要となります。
「遅刻すると、契約が取れないかもしれないから今回は頑張って時間通りに行こう」という動機付けの場合、今回はモチベーションがあがって遅刻しないかもしれませんが、モチベーションが下がるとまた遅刻する習慣となります。
最大の効果を生む方法は、「遅刻しないことが当たり前なんだ」というスタンスにしてしまうことです。
モチベーションアップよりもスタンスアップを目指してコーチングする方が長期的には効率がよくなります。

【モチベーションをあげてはいけない理由】

そもそも「モチベーション」とは、人が行動を起こすときの心理的な動機・やる気という意味となります。
モチベーションはインセンティブや評価などの外的要因(外発的動機付け)と、やりがいや意欲などの内的要因(内発的動機付け)によりアップします。
そして、モチベーションは刺激がないと下がるものです。

ここは大事なポイントだと思います。
モチベーションは刺激があると急激に上ったり下がったりします。
モチベーションは刺激がないとゆるやかに下がるものです。
基本的には一度あがったモチベーションは四半期(3カ月)程度しか維持しません。

上ったモチベーションが元の位置に戻るということ自体には大きな問題はありません。
しかし、人は高かった時のモチベーションと、元の位置に戻ったモチベーションの落差に対して喪失感が発生します。

お金に例えると、今まで普通に生活していた人が宝くじの高額当選を機に、生活水準があがってしまい、当選金を使い果たしても、元の生活水準に戻せないという感じです。
そのまま借金まで抱えてしまう人も多いと思います。

これと同様に、一気にモチベーションをあげてしまうことには、リスクが生じます。
大きな大会後にバーンアウトが起こりやすい原因は、このモチベーションの急上昇と下降後の落差だと思います。

〇「モチベーションをあげてはいけない理由」の否定

→2019/7/27追記
「モチベーションをあげてはいけない理由」に関しても現在は違う考えです。
よくないモチベーションのあげかたは、強い外発的要因による急激な上昇です。
宝くじも高額当選で人生を崩す人はいるかもしれませんが、少額当選で崩す人は稀です。
プレイヤーの環境やスタンスを考えて、適度な刺激の(可能な限り内発的な)モチベーションアップは悪いことではなく、むしろコーチの本来の役目となります。

バスケにおける良いプレイと悪いプレイの定義

先日、「良いプレイと悪いプレイの違いが分からない」という意見を聞きました。
プレイを見れば、感覚的にはなんとなくわかるんだけど、言語化すると難しいということに気付きました。
そこで、あらためて「バスケにおける良いプレイと悪いプレイ」を定義づけしたいと思います。

【期待値による判断】

COSMOS女子ではスタッツをつけております。
そこからポゼッション(一回の攻撃)ごとの期待値(予測される得点)を算出しています。

COSMOS女子平均:ポゼッション数75.5回、得点57.9点、期待値0.77点
Wリーグ全体平均:ポゼッション数73.2回、得点68.2点、期待値0.93点

「ポゼッション数 = シュート数 + ターンオーバー数 - オフェンスリバウンド」となります。
「ポゼッション期待値 = 得点 ÷ ポゼッション数」となります。

例えば、2回のオフェンスで1本の2Pを決めると、「2点 ÷ 2回 =1点」が期待値となります。
3回のオフェンスで1本の3Pを決めると、「3点 ÷ 3回 =1点」が期待値となります。
当チームだと、低いプレイヤー(Aさん)は0.5点、高いプレイヤー(Bさん)だと1.2点の期待値となっております。

各期待値をチームのポゼッション数とかけた場合、下記の結果となります。
Aさん:0.5点 × 75.5回 = 37点
Bさん:1.2点 × 75.5回 = 90点…