モチベーション不要論→正しいモチベーションを理解する

「モチベーションが下がってしまいバスケをやる気がしない」という発言。
社会人バスケあるあるですね。
今回はこの「モチベーション」について掘り下げてみます。

【正しいモチベーションを理解する、2019/7/27追記】

当記事は、2018/10/26時点の私の考えとなります。
当時はモチベーション不要論者でしたが、現在は様々なコーチと交流することで、モチベーションをポジティブに捉えるよう変化しました。
「モチベーションに左右されるな」はプレイヤー目線では素晴らしい考えかもしれませんが、コーチとしては「内発的動機付け」の仕事を放棄した怠慢ですね。
勝利至上主義(行き過ぎたエゴオリエンテーション)からの脱却、タスクオリエンテーションの強化

【モチベーションをあげてはいけない】

いきなりの暴論ですが、私は完全にモチベーション不要論者です。
コーチがプレイヤーに対して高めるのはモチベーション(感情)ではなくスタンス(考え方)だと思います。

例えば遅刻しないという概念。
社会人であれば、会社や取引先との時間に遅刻しないのが当たり前です。
しかし、遅刻しないのが当たり前という考えのない人にとって、間に合うようにするにはモチベーション(動機付け)が必要となります。
「遅刻すると、契約が取れないかもしれないから今回は頑張って時間通りに行こう」という動機付けの場合、今回はモチベーションがあがって遅刻しないかもしれませんが、モチベーションが下がるとまた遅刻する習慣となります。
最大の効果を生む方法は、「遅刻しないことが当たり前なんだ」というスタンスにしてしまうことです。
モチベーションアップよりもスタンスアップを目指してコーチングする方が長期的には効率がよくなります。

【モチベーションをあげてはいけない理由】

そもそも「モチベーション」とは、人が行動を起こすときの心理的な動機・やる気という意味となります。
モチベーションはインセンティブや評価などの外的要因(外発的動機付け)と、やりがいや意欲などの内的要因(内発的動機付け)によりアップします。
そして、モチベーションは刺激がないと下がるものです。

ここは大事なポイントだと思います。
モチベーションは刺激があると急激に上ったり下がったりします。
モチベーションは刺激がないとゆるやかに下がるものです。
基本的には一度あがったモチベーションは四半期(3カ月)程度しか維持しません。

上ったモチベーションが元の位置に戻るということ自体には大きな問題はありません。
しかし、人は高かった時のモチベーションと、元の位置に戻ったモチベーションの落差に対して喪失感が発生します。

お金に例えると、今まで普通に生活していた人が宝くじの高額当選を機に、生活水準があがってしまい、当選金を使い果たしても、元の生活水準に戻せないという感じです。
そのまま借金まで抱えてしまう人も多いと思います。

これと同様に、一気にモチベーションをあげてしまうことには、リスクが生じます。
大きな大会後にバーンアウトが起こりやすい原因は、このモチベーションの急上昇と下降後の落差だと思います。

〇「モチベーションをあげてはいけない理由」の否定

→2019/7/27追記
「モチベーションをあげてはいけない理由」に関しても現在は違う考えです。
よくないモチベーションのあげかたは、強い外発的要因による急激な上昇です。
宝くじも高額当選で人生を崩す人はいるかもしれませんが、少額当選で崩す人は稀です。
プレイヤーの環境やスタンスを考えて、適度な刺激の(可能な限り内発的な)モチベーションアップは悪いことではなく、むしろコーチの本来の役目となります。

【他人のモチベーションを高め続けることの大変さ】

過去には個人目標の設定、アクションプランの設定、チーム理念の共有などでモチベーションを高める施策をしたことがあります。
しかしながら、転職や繁忙期などの外的要因が理由で練習に来れない人もいます。
一部でモチベーションをあげてしまうと、モチベーションがあがっていない人は温度感の差で余計に練習に参加しにくくなります。
また、コンスタントに来れていた場合でも、人的時間的リソースの都合で、プレイヤーごとに細かな対応が難しいのが現状です。
結局のところ、各自に頑張ってもらうしかありません。

そこで私が気を付けている点は、下記の三点です。
1、モチベーションを急激にあげないようコントロールすること。
2、モチベーションを下げるような言動を割けること。
3、モチベーションではなく、スタンスをあげること。

【モチベーションに頼らない動機付け】

〇習慣化

練習日程を固定の曜日、時間、場所にすることが理想です。
そして一週間のルーティーンに取り入れさせます。
そうすることで火曜の夜は〇〇のバスケという習慣にさせてしまえば、バスケをやるのに動機付けの必要性が小さくなります。

〇絆を深める

チームを好きになってもらう。
帰属意識を高めてもらう。
これは一緒にいる時間の長さや経験の大きさ。
バスケ外での交流の深さなども影響を与えます。
絆化の弱点は、絆が崩れた時や仲の良いプレイヤーが離れた時にバーンアウトにつながるリスクもあります。

〇当事者意識を持たせる

簡単な方法は役割を与えることにより、当事者意識を持たせることです。
自分がチームのここを支えているという部分を明確にさせます。
宴会担当でも、体育館確保担当でもなんでもいいと思います。
ただし、これにも弱点があり、一定のレベルまではプラスに作用しますが、重荷に感じられてしまうと一気にマイナスに転じます。

〇当たり前化

ここを私は、スタンス向上と呼んでいました。
バスケやることが当たり前である環境にすること。
バスケを頑張ろうではなく、バスケをやることが当たり前。

食事するのは当たり前、夜寝るのは当たり前、寝る前に歯を磨くのは当たり前。
と同じレベルに当たり前にすることができれば、理想的です。
ちなみに今の私はここです。
バスケするのにモチベーションの必要性を感じません。

疑問を持たずに勝つことを目指すのが当たり前、うまくなることを目指すのが当たり前、そのためにバスケをするのが当たり前という単純思考になる、スタンス向上が最適だと思います。
全ては自分の成長のために役立ってると思い込むことがコツとなります。

【「モチベーション不要論→正しいモチベーションを理解する」のまとめ】

プレイヤー目線で考えれば、習慣化、当たり前化することで、モチベーションに左右されず、プレイの継続や追及が可能となります。
コーチ目線でがんが得れば、内発的動機づけを促す環境を作ることで、プレイヤーが自発的に楽しくプレイに取り組める環境となります。
コーチとプレイヤーが高め合って、スタンスとモチベーションをあげていけるのが理想的となります。