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ゾーンアタック~ボールアラウンドとマンアラウンド

【ゾーンアタック三行まとめ】
☑人はあまり動かずボールを動かして、ゾーンを崩すのがボールアラウンド。
☑人もボールも動かして、ゾーンを崩すのがマンアラウンド。
☑結局一番大事なのは、オフェンスリバウンド。
現在、当チームでは2-3のゾーンディフェンスを組まれた場合、ボールアラウンドでゾーンアタックをしています。
しかし、当日のメンバーの習得率やシュートの調子、相手チームのゾーンのクセによっては、全く効果がない場合もあります。
よって、セカンドオプションとして、現在マンアラウンドを練習中です。
今回は、ゾーンアタックの考え方、ボールアラウンドとマンアラウンドの違いなどを解説したいと思います。

【相手のゾーンディフェンスの特徴を把握する】

ゾーンディフェンスには色々な種類があり、同じアライメント(隊列)のゾーンの場合でも、微妙な立ち位置の違いや、身長の違い、動きの違いがあります。
なので、ゾーンアタックで最初に考えるのは、相手のゾーンディフェンスの特徴を把握することになります。

〇ゾーンのアライメント

まずは相手のゾーンディフェンスが「2-3」のローゾーンなのか、「3-2」のハイゾーンなのかを把握します。
稀に、「1-3-1」のスペシャルゾーンもありますが、今回は省きます。
「2-3」には、後列の真ん中がハイポを守る「2-1-2」と、前列の二人が縦に並ぶ「1-1-3」の場合もあります。
「3-2」には、前列の真ん中だけが高めに守る「1-2-2」もあります。

〇ゾーンの動きの違い

ゾーンはアライメントの違いだけでなく、ディフェンスの守り方よっても分類できます。
ストレートゾーン:2-3や3-2などのアライメント(配置)だけを決めるゾーンディフェンスです。
マッチアップゾーン:ゾーンでありながらもマンツーのように、ノーマークを作らないよう心がけるディフェンスとなります。
スライディングゾーン:自分のエリアにいるオフェンス全員をマークするディフェンスです。
参考:マッチアップゾーンとスライディングゾーン
クラブチームの場合は、ストレートゾーンから始まって、チームごとにマッチアップゾーン色が強まるか、スライディングゾーン色が強まるかに進化していきます。
当チームの場合は、ファーストオプションはマッチアップゾーン、人数が少なくて体力温存したい時や、3Pを積極的に撃たせたい時はストレートゾーンにします。
経験則としては、マッチアップゾーンに対して通常のゾーンアタックをしても効きにくいですね。

〇ゾーンの広さの違い

同じアライメントのゾーンで、同じ動き(スライディングorマッチアップ)のゾーンであっても、ゾーンの広さが極端に変わるチームもあります。
3Pラインまでしか出ない小さく守るチームと、3Pラインをはみ出して積極的に守るチームです。
小さく守られると、中で崩しようがなく、3Pがメインとなってしまうので、3Pの調子次第で結果が左右されてしまいます。
逆に大きく守られると、隙がでる反面、ディフェンスのプレッシャーも強くなります。
3-2の場合はハーフコートぐらいから極端に高くプレッシャーをかけてくるチームもありますね。

〇ゾーンの守る人の違い

よくあるのは、でかいプレイヤーが3-2の真ん中に立つタイプですね。
それ以外にも、インサイドがでかくてディフェンスリバウンドをしっかりと取るチームなのか、機動力を中心としたチームなのかでも、考えが変わります。
ここはメンバーチェンジによって試合中も変化するので、あまり細かく気にしすぎても仕方ありませんが。

一応、私の場合は、アライメントの違い(最重要)、動きの違い、広さの違い、守る人の違いを把握しようと試みます。

【ゾーンアタックのオプション】

いくら相手のディフェンスを研究したところで、ちょっとした細かい修正程度で、結局やることは変わりません。
ゾーンアタックの流れ(うまくいかない時の変化)としては下記をイメージしています。

プリンストンオフェンス

【プリンストンオフェンス三行まとめ】
☑アライメントは4out1in。
☑フローチャートで進むオプショナルオフェンス。
☑常にバックドアを狙う。

【プリンストンオフェンスの生みの親】

プリンストンオフェンスとは、プリンストン大学で長期に渡りコーチを務めたピート・キャリルが発案したオフェンスのことです。
プリンストン大学とは、日本で言う東大みたいな感じで、スポーツ奨学金なしの秀才軍団を、独自のオフェンスを駆使し、スポーツ推薦で集まる私立強豪に何度も勝利を重ねたという感じですね。

ピート・キャリルについては、こんな感じです。

1967年から1997年の30年間、プリンストン大学でヘッドコーチを務める。アイビーリーグの歴代最多勝コーチであり、13回のカンファレンス優勝と11回のNCAAトーナメント出場を誇る。1997年にバスケットボール界における功績が認められ、バスケットボール殿堂入りを果たす。プリンストン大学の後、NBAサクラメントキングスでアシスタントコーチを務め、プリンストンオフェンスを指導し、多大な成果を収めた。

「賢者は強者に優る」がピート・キャリルのコーチング哲学です。

【アライメント】

アライメントとは、オフェンスを開始するときの立ち位置のことです。
プリンストンオフェンスのアライメントは4out1inとなります。
稀に5outや3out2inもありますが、4out1inが一番多いです。

バックドアを活かすためには、2-3ハイセット(2ガード、2ウイング、1ハイポ)が好みです。
1トップ、2ウイング、1コーナー、1ポストなどの形もあります。
アライメントはある程度自由でいいと思います。

【オプショナルオフェンス】

オプショナルオフェンスとは、常に決められた複数の選択肢(オプション)から選手が自由に選び進んでいくことです。
オプショナルの例をご案内します。

〇エントリー


アライメントを組んだ後の最初のプレイを「エントリー」と呼びます。
エントリーはウイングパス③、ハイポパス⑤、ヘルプサイドパス②の3つからコート内の選手が選択します。

〇ウイングパスエントリー


ウイングパスエントリーをしたら、次にUCLAカットかスペインピックを選択します。
それぞれの具体的な動きについては割愛します。
ヘルプサイドの動きは、お互いにスクリーンをかけあって、バックドア、フレア、フレックスを仕掛けることで、ボールサイドにディフェンスが行かないようにします。

〇ハイポパスエントリー


ハイポパスエントリーをしたら、スタックかカールを選択します。
ヘルプサイドは、ウイングパスエントリーと同様にスクリーンをかけあうことでディフェンスを引き付けます。

〇ヘルプパスエントリー


ヘルプサイドパスエントリーをしたら、チンかフレアを選択します。

〇フローチャート


色々なオフェンスが出てきて混乱すると思うので、フローチャートを作って体系化してみました。
今回は1stで3つの選択肢、そこから各2つの選択肢の合計6パターンのオプショナル(選択自由の)オフェンスとなります。
→ ウイングパス → UCLA

オフボールスクリーン(ピック)の種類とコツ、オフェンスの80%はオフボールである

【オフボールスクリーン二行まとめ】
☑ピックの種類ごとにポイントが異なる
☑練習では「ずれ」で満足せず、しっかりかけることを意識する

オンボールスクリーンに比べてオフボールスクリーンは、そもそもスクリーンがかからないなど、得意不得意の差が大きい気がします。
オンボールピックがサイドにセットすることが多いのに対して、オフボールスクリーンは種類ごとにコツが異なるからだと考えております。
正面からかけるフロントスクリーン、横からかけるサイドスクリーン、背後からかけるバックスクリーン(フラットスクリーン)、すべてコツが異なります。
種類の違うスクリーンを全部同じスクリーンとしてセットしようとしても、なかなかうまくいきません。
そこで、種類ごとのスクリーンのコツを解説します。
念のため、サイト内での用語の整理をします。
「スクリーン」と「ピック」は同じ意味で使っています。
スクリーンを使う人を「ユーザー」、オンボールで使う人を「ハンドラー」と呼びます。
スクリーンをかける人を「スクリナー」または「ピックマン」と呼びます。

【オフボールスクリーンの種類】

オフボールでのアウトサイドプレイヤー(ユーザー)とインサイドプレイヤー(スクリナー)の組み合わせのスクリーンプレイです。
この4つだけを抑えておけば十分です。
カッコ内の方向はユーザーの方向です。

・アップスクリーン(下)
・ダウンスクリーン(上)
・フレアスクリーン(外)
・アウェイスクリーン(中)

〇アップスクリーン

スクリナーがエンドライン方向から、アップしてセットするスクリーンです。
この形で多いのは、ターゲットの背後からかける形(バックスクリーン)です。
ルール上では、ディフェンスがよけられるように一歩の距離をあけるよう指示がありますが、私はシール(ターゲットにくっつく)までやるべきだと思います。
NBAでも、Bリーグ・Wリーグでも、クラブでも、学生でも、この手のファウルを吹かれたのを見たことがありません。(吹かれたら試合中にアジャストすればいい)
ターゲットの背後からかけられるので、シールが簡単にできます。
ユーザーは、一度フェイクを入れて、ゴール方向に素早くカッティングします。
通常は、ノーマークにならないよう、もう一人のディフェンスがバンプすると思うので、当たり負けしなければ、ゴールの可能性が生まれます。
コツ:スクリナーはシール。ユーザーはフェイク+素早いカッティング。

〇ダウンスクリーン

スクリナーがエンドライン方向に、ダウンしてセットするスクリーンです。
ダウンスクリーンが一番、得手不得手がはっきりするスクリーンだと思います。
この形で多いのは、ターゲットの正面からかける形(フロントスクリーン)で、いわゆるスタックの形になります。
ターゲットに見られながらかけるので、無理やりシールできません。
なので、スクリナーよりもユーザーが頭を使う必要があります。
ディフェンスの位置を見ながら、レギュラーカット、バックドアカット、カールカット、フレアカットなどを選択します。…