ヘルプ・ザ・ヘルパー/help the helperって何?バスケ用語

【ヘルプ・ザ・ヘルパー/help the helper】

ヘルプ・ザ・ヘルパー/help the helperとは、三線がヘルプに行ったカバーをするディフェンスのことです。

コーチとしてNCAAチャンピオンを二回獲得したディーン・スミスが積極的に取り入れた戦術となります。

【10年勝ち続ける最強チームの作り方】

バスケ用語からは外れますが、ヘルプ・ザ・ヘルパーには、自分の役割範囲を越えて、チームを助ける精神を持つという意味もあります。
「10年勝ち続ける最強チームの作り方」という書籍で使われています。
目次から分かりやすい例を出すと、下記二点等があります。

・ジャージーの前面 ~自分の名前よりチーム名に価値を置く~
・類まれなチーム ~H2H文化は、活動の中心から2歩離れたところに芽生える~

自閉症の少年が起こした奇跡の実話。
この物語の主人公は、ニューヨークの郊外にある高校のバスケットボール部のマネージャー。
「J-マック」という愛称で親しまれている、自閉症の若者だ。
彼は、汗まみれのタオルを運んだり、水を取ってきたりするだけで嬉しくてたまらないほど、バスケットボールを愛していた。
試合に出ることはなかったが、毎日毎日、とびきりの笑顔で、せかせかと選手たちの世話役をしていた。

監督は、試合が自閉症の子どもにとって、集中力を向上させる良い機会になることに気がついていた。
そこで、J-マックをベンチ入りさせることにした。
するとたちまちチームの団結力が高まった。
先発メンバーは、良いプレーをしてはJ-マックに捧げた。
監督はその頃からある計画をじっくりと考えていた。
「もしほんの少しだけJ-マックを試合に出したら、素晴らしいことが起きるのではないだろうか」と。

2006年2月15日、監督は決断を下した。
J-マックを試合に出すことにしたのだ。
しかも消化試合ではなく、ライバル高校との地区優勝をかけた戦いだ!
残り時間が4分を切った時、J-マックはコートに出た。
チームメイトは素早くボールを回し、「シュートしろ!」と叫んだ。
J-マックのシュートは、バックボードにもリングにも当たらず外れる、エアボールになった。
はっきり言って、エアボール中のエアボールだった。

すぐ次のプレーでは、チームメイトはコートの端から端までボールをつないで、再びJ-マックへパスした。
今度は片手でボールを持ち上げるようにして放つレイアップシュートだ。
J-マックはこれも外した。
それでも彼は屈しなかった。
すると最高の結末が待っていた。

J-マックの3度目のシュートはスリーポイントを狙うことになった。
”シュッ!”
ボールはリングのど真ん中を見事に通り抜けた。
体育館に拍手と歓声が沸き起こった。
次にボールを持つと、J-マックはまたスリーポイントを決めた。
さらにもう1回。2回。3回。
彼に火がついた。
もう誰にも止められなかった。
立て続けに”6回”もの3ポイントシュートと2回のフリースローを決めた。
彼は試合終了までコートに留まり、20得点を稼ぎ出した。
”おまけに”試合終了のブザーと同時に、もう一度ゴールネットを揺らした。

観客の興奮は凄まじく、熱狂的という言葉ではとても表せないほどだった。
J-マックは汗だくの笑顔でチームメイトと喜びあった…。
それを見ていた母親は、息子の初めての”成功”の瞬間に、嬉しさの涙をこらえられなかった。

この少年のように、縁の下の力持ちがスポットライトを浴びることは稀だと思います。
一度も、その機会がないまま終わるかもしれません。
そりゃ、プレイヤーだったら自分がいっぱい試合に出て、活躍して、勝利することを誰もが望むと思います。
しかし、チームの全員がそう思ってしまうと、チームとしてバランスを崩してしまいます。

One for all, All for one
一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために。

for the team
「チームのために自分はどのように役立てばいいのか」を常に念頭に置き、実践すること。
それができる人間が多ければ多いほど、組織は強くなる。

one team
出身地、文化、様々な生まれや背景が違っても目標に向かって一致団結し、その違いを乗り越えて一つになる。

自分の役割を越えて、チームを助ける精神を持つことができれば、最強のチームとなります。