【審判の基本三行まとめ】
☑審判四原則を意識して動く
☑ファウルは三つの確認をして判断する
☑笛は3Sを意識して吹く
社会人の区民大会で帯同審判として吹く場合、びびってあまり吹かないよりも、とりあえずフィーリングでもいいので、思ったことを吹くことが大切です。
審判経験が未熟な時は、ミスジャッジは仕方ないので、強気で吹いてください。
吹かないミスジャッジよりも、吹いたミスジャッジの方が、うまくなります。
でも、いきなり公式試合で吹くのではなく、チーム練習や練習試合で経験してから公式デビューしてください。
今回は二人制審判について解説します。
目次
【審判の呼び名】
〇クルーチーフとアンパイア
主審をクルーチーフ、副審をアンパイアと言います。
クルーチーフとアンパイアにはジャッジに対する上下関係はなく、権限は同一です。
〇リードオフィシャル
攻める方向に先に進む審判をリードオフィシャルと呼びます。
リードオフィシャルはエンドラインと、エンドラインを背にして左側のサイドラインを使って移動します。
上記の図で、4番・5番が責任エリアとなります。
〇トレイルオフィシャル
攻める方向に後追いする審判をトレイルオフィシャルと呼びます。
トレイルオフィシャルはセンターラインと、センターラインを背にして左側のサイドラインを使って移動します。
上記の図で、1番・2番・3番・5番・6番が責任エリアとなります、広いですね。
ゴール下である5番はリードとトレイルの両方が責任を持ちます。
【バイオレーションとファウル】
違反の種類はバイオレーションとファウルに大別されます。
〇バイオレーション
バイオレーションとは、トラベリング、ダブルドリブル、アウトオブバウンズ、オーバータイムなどです。
ペナルティはボール保有権(ポゼッション)の移動だけです。
黒チームのバイオレーションであれば、白チームのスローインからスタートとなります。
〇ファウル
ファウルとは、プッシング、イリーガルユースオブハンズ、オフェンスチャージングなどです。
テクニカルファウルやアンスポーツマンライクファウルなどは省略します。
ペナルティはボール保有権(ポゼッション)の移動と、個人ファウルとチームファウルが追加されます。
個人ファウルは、5個で退場。
チームファウルは、1Qにつき5個目からフリースローとなります。
またシュートに対するファウル(ステップ中含む)もフリースローとなります。
ここまではかなり基本的な説明となります。
以降が、本記事の主旨となります。
【審判四原則】
〇オールウェイズ・ムービング
審判は決して立ち止まらずに、良い位置、良い角度を求め、確認できる位置へ移動するという原則です。
立ち止まって、遠方から吹く審判のジャッジには説得力がついてきません。
常にベストの位置を求め、足を止めないように心がけることです。
〇ボクシング・イン
二人の審判で、常に10人の選手を挟んで見るようにすることです。
経験が浅い審判はどうしてもボールに目が行きがちですが、審判全員がボール周辺しか見ないと、ボールとは関係ない場所での違反行為に気づくことができません。
例外として、バックコートからフロントコートへボールを進める時は、ボール周辺はトレイルオフィシャルしか見ることができないので、不穏な動きがない限りはボールラインより後方のプレイヤーから目線を外します。
〇スペース・ウォッチング
審判は、常にオフェンスとディフェンスの間からプレイを見ます。
選手の後方からだと、正確な事象を捉えることができません。
常に人と人の間に移動し、ファウルなどのイリーガルなプレイがないかを確認します。
〇ペネトレーション
審判は、常に良い角度から見る為、足も気持ちも踏み込むことが大事です。
左右の動きだけでなく、状況によっては前方へ、ぐっと踏み込み、事象を見逃すことがないようにします。
特に、人が密集するゴール周辺は踏み込まないと(場合によってはあえて下がらないと)、よく見えません。
【ファウル三確認主義】
ファウルは、3つの要素を確認した上で判断します。
1945年以来、畑龍雄氏、古川幸慶氏らが身体接触により起こるパーソナルファウルがどんな条件で成立するかを理論的に確立して全国に普及し、審判を行う上での基本となっています。
引用元:審判 心構え 四原則・三確認主義
FIBAのルールかと思っていましたが、日本から普及した考えだったようです。
〇接触
オフェンスの身体とディフェンスの身体に接触があったか?
身体同士の接触が最初の大前提となります。
稀にシュートのボールを上から抑えつけるプレイに対して、ホールディングをコールする審判がいますが、身体接触の無いファウルはありません。
必ず、身体のどこの部分が、どこの部分に触れたのかを確認する必要があります。
〇責任
接触を確認したら、接触の責任がどちら側にあるのかを見極めます。
オフェンスが悪いのか?ディフェンスが悪いのか?という判断です。
責任は、基本的にはシリンダーで考えます。
ディフェンスにとって正当な防御の位置(相手に向かい合い、両足を普通に広げて付けている)を「リーガルガーディングポジション」と呼びます。
リーガルガーディングポジションを垂直に円柱で包んだ範囲をシリンダーと呼びます。
シリンダーは、手を普通に上に上げたときの手の平の垂直面から、うしろは尻の垂直面、両脇は腕と脚の外側の垂直面で囲まれた部分となります。
例えば、お互いに押し合っている場合は通常ですと、両方に責任があるのでイーブンではあります。
しかし、ディフェンス側が相手の背中に腕をあてて押し合っている場合は、相手はシリンダーの範囲内であるが、ディフェンスはシリンダーの範囲外なのでディフェンスに責任があります。
他にも、二人がジャンプで移動して空中でぶつかった場合は、両方ともシリンダーの範囲外なのでお互いにイーブンの責任となります。
どちらの責任か判別がつかない場合は、ディフェンスの責任とみなします。
〇影響
接触があり、どちらの責任かを判断したら最後に、その接触がプレイに影響を与えているかどうかを見極めます。
影響の判断は、オフェンスの R(リズム)S(スピード)B(バランス)Q(クイックネス)を見るよう、指導されています。
一応、もうちょい踏み込んで説明します。
リズムは「律動」ですが、リズムの方がわかりやすいですね。リズムが乱れたら「影響あり」です。
スピードは「速度」です。接触により、速度が遅くなったら「影響あり」です。
バランスは「体のつり合い」です。接触により重心が崩れたら「影響あり」です。
クイックネスは「敏捷性」です。SAQでは、細分化していますが、今回はスピードと同義と考えて差し支えありません。
が、こんな細かく見分けるのは難しいので、ぶつからない時と比べて不利になっていると判断したら「影響あり」で大丈夫です。
接触されたプレイヤー側が、ファウルをコールすることで有利な状況がなくなるようならば、ファウルは流します。(アドバンテージ)
ハンドチェッキングに関しては、触れ合いの度合いで判断せず整理するべきプレイであるとされています。
【3S】
笛の吹き方は3Sを意識します。
3Sとは、Strong(強く)・Short(短く)・Sharp(鋭く)の頭文字です。
〇Strong
大きい音が出るように笛を強く吹くという意味です。
笛の音が小さいとプレイヤーもベンチもテーブルオフィシャルも聞こえにくいです。
笛は大きい音で鳴らしてください。
3Sの中では一番大事ですね。
〇Short
笛を短く吹くことです。
笛の音が長いと、どのプレイに対するジャッジを指しているのかわかりにくいです。
事象が起きたら即座に、短く鳴らすことで、どのプレイがルール違反だったのかを分かりやすくします。
〇Sharp
笛を鋭く吹くことです。
叱られる時に、低く鈍い声で「こら~」と言われるよりも、高く鋭い声で「こらっ!」と言われる方が、体も反射的に止まります。
笛の音が鋭い方が、プレイヤーの(特にファウルの)動きを止めやすくなります。
〇特殊なファウルの吹き方
笛は3Sを意識して吹きますが、ファウルはバイオレーションの時よりも強く吹きます。
そして、オフェンスファウルやアンスポーツマンライクファウルなどのように特殊なファウルは、「ピピッ!ピピッ!ピピッ!」といつもと違う吹き方をすることで、周りにやすく伝えることができます。
【ゲームを感じろ!フィールザゲーム】
ルールブックにも、「フィール・ザ・ゲーム」という言葉の記載がありました。(最新版に掲載されているかはわかりません)
平たく言うと、「空気を読めよ」ってことです。
すべてをルールブックに沿って、オートマチックに取り上げると、プレイとは関係ないところでゲームを止めることになります。
吹くべきファウルやバイオレーションはしっかりと吹き、流すべき違反はあえて流すということです。
例えばトラベリングなどの例ですが、ボールが手から離れる前に軸足が離れるとトラベリングになります。
しかし、ディフェンスの影響がない状態でのトラベリングは流すことで、ダンクシュートなどの派手なプレイの演出に貢献することができます。
フィール・ザ・ゲームで、オートマチックな判断だけでは損なわれてしまうゲーム性を担保することができます。
【審判のまとめ】
審判をやると、「あれ?このプレイはどう判定すればいいのだっけ?」ってことが稀にでてきます。
例えば、タイムアウト空け後にメンバーがコートに戻らない時。
オフェンスが戻らない場合は、床にボールを置いて5秒数えます。
ディフェンスが戻らない場合は、ディフェンスチームのタイムアウトをコールします。
これは、実際にその事象を経験するか、分からなかったときに自分で調べないと、いつまで経ってもわかりません。
そういった経験をひとつずつ確実な知識にすることで、いつでも冷静な判断が的確にできるようになります。