アンダーハンドレイアップとオーバーハンドレイアップ

先日の女子の試合でレイアップがポロポロ落ちて負けたので、バリューワークスのコーチに相談させて頂きました。
そこでレイアップを勉強し直して、再定義し、練習から取り組むことにしました。
目指すは、「レイアップを絶対に外さないチーム」です。

【レイアップとは】

レイアップシュートとはバスケット(リング)付近からのシュートのことです。
引用元:【Skills&Drills】事実、多くの指導者が知らないレイアップシュートの真実
海外では上記のように定義していることが多く、私も同じ考えです。
よって、パワーレイアップだけでなく、フックシュート、ステップインシュート、アンダーハンドもオーバーハンドも全部がレイアップです。

皆さんが想像するレイアップは、おそらくスラムダンクの「庶民シュート」が強烈に印象づけたのだと思います。

私は「庶民シュート」を「アンダーハンドのランニングシュート」と呼んでいます。
勿論、普段は総称の「レイアップ」と呼んでいます。

庶民シュートはレイアップの一種であり、「レイアップ=庶民シュート」という常識は捨ててください。

【置いてくるという感覚】

よく、「リングにボールを置いてくる感覚でうつ」という話がでます。

「置いてくる」というのは、ミドルレンジのシュートとは違って、柔らかくうつということを指しているのだと思います。
なので、決して間違いではありませんが、「置いてくる」を額面通りに受け取ってはいけません。
画像のように、リングまでボールを持っていける人は、「ボールをリングに置いてくる」が最適な表現だと思います。
しかし、小学生や女子選手のように力がないプレイヤーに置いてくるという感覚を伝えるのは最適ではないと思います。
しっかりとボールをリリースすることを伝えた方が良いと思います。
後で述べますが、アンダーハンドレイアップは「置いてくる」という感覚が理解できる体躯ができてから取り組めばいいと思います。

【レイアップの何が難しい】

理屈から説明すると、レイアップだろうとロングシュートだろうとシュートとは前後と左右と高さの三点のずれをなくす作業です。
距離の短いレイアップの場合は、前後や左右よりも高さのずれをなくすのが最も困難となります。
力のない体躯でアンダーハンドレイアップをすると、より難しくなります。
結果、両手でコントロールする癖がついてしまうプレイヤーもいます。

両手でレイアップをすることが絶対に悪いわけではありませんが、デメリットの方が多いです。
両手のレイアップは高さを放棄することになり、リリースからゴールまでの距離(高さ)が遠くなるのでコントロールが難しくなるのと、リリースが低いのでブロックされやすくなります。

【オーバーハンドレイアップ】

では、どうすればいいかというと、オーバーハンドレイアップをお勧めします。

私の考えるオーバーハンドの利点は3つです。
・オーバーハンドだとリリースポイントがアンダーよりも高くなる。
・下から上に放るアンダーよりも、前方に放るオーバーの方が狙ったところに投げやすい。(バンクシュートが前提)
・普段のシュートがオーバーなので、レイアップだけアンダーにするよりも慣れている。(大人でもすぐ慣れると思います)

ここで、ひとつ証拠を出します。
日本バスケットボール協会が指導者向けに発行している「バスケットボール指導教本」には下記のように記載されています。

私自身、高校の時にノーマークのレイアップをポロポロ落とすのが嫌で自分で考えた結果、オーバーハンドにシフトチェンジしました。
以降、レイアップを落とすことはなくなりました。
よく、「ちゃんとレイアップでうてよ」と言われましたが、当時の私は「こっちの方が入るからこっちでいいじゃん」と思っていました。
大人になってから、オーバーハンドもレイアップである、むしろ海外では、オーバーハンドが主流であると知りました。

【アンダーハンドの利点】

では「アンダーよりオーバーの方が優れているか?」というと、勿論、そんなことはありません。
指導教本にも、発育発達に伴った片手でのボール操作能力向上に応じて、アンダーハンドへ移行していく方法がスムーズな習得につながると記載されています。
アンダーにはアンダーの利点があり、最終的にはアンダーハンドレイアップの方が強力な武器になります。

アンダーハンドレイアップの私が考える利点は下記です。
・ブロックをかわしやすい(オーバーはせいぜい左右にしかかわせません、アンダーは前後左右上下と自在にかわせます)
・バリエーションが豊富である(バックシュート、ダブルクラッチ)
・リングシュートができる(バックボードを使わないリングシュートの場合、オーバーだとコントロールがしにくい気がする)

よって、密集地帯でのレイアップではアンダーでかわしながらシュートする方がいい場合も多いです。
ちなみに、オーバーしか狙わない私の場合はギャロップステップでフィジカルを武器に飛び込んで、オーバーでレイアップしています。

【レイアップは利き手でうつ】

現役NBA選手のC.J.マッカラムの分析によるとこうです。
「パーカーは必ず右手でレイアップをフィニッシュするんだ。ゴール下で左手は一切使わない。」

「ハーデンは必ず左から攻める。彼が右手でレイアップをやったのは、この3年間で1度しか見ていない気がするよ。たとえ右に攻めても、左手に戻している。」

引用元:【Skills&Drills】NBAエリートガード入門 by C.J.マッカラム

時間に限りがあるのであれば、無理して両手でできるようにならなくて構いません。
レイアップは利き手の精度をあげれば十分です。

【ロング・ショートステップ】

バリューワークスのコーチとの意見交換で一番の収穫はステップでした。
オーバーかアンダーという理論よりも、ステップの方が大事です。
レイアップが苦手の人の多くは、レイアップの時に前方に飛び、そのままリングを通り抜ける傾向が高いです。

おそらく、アップで行うレイアップのせいだと思います。
アップの場合、レイアップをうった後、後ろから次のプレイヤーがレイアップにくるので、素早くどかないと邪魔になります。
それを回避するために、前方に飛んで、そのままリバウンドはボールを拾うプレイヤーに任せ、ゴール下を通りすぎて列に並びます。
練習は常に試合を意識するというPTP(戦術的ピリオダイゼーション理論)に基づかない練習のせいでプレイの質をさげている悪い典型です。

話を戻すとレイアップは前でなく上に飛びます。
リングからボールの距離が近いほどシュート成功率が高まり、ブロックもされにくくなります。
レイアップを成功させやすくするためのコツとして「ロング・ショートステップ」という概念があります。
ボールを保持して一歩目でリング手前まで詰めて、二歩目は小さめのステップで上に飛びます。
二歩目を一歩目と同じ幅のステップにすると、どうしても前方にしか飛べなくなります。
よって二歩目は歩幅を短くする(ショート)のが成功の秘訣です。

上方向に飛ぶので、着地はリングの手前になります。
万一外した場合は、自分でオフェンスリバウンドに行く。
決めた場合は、サイドライン(コートの端)に沿って走らず、ミドルライン(コート中央)を走って最短距離でディフェンスに戻ります。

【レイアップも再現性を意識する】

シュートで大事なのは再現性です。
再現性とは、シュートフォームのスタートからエンドまでを一緒にするということです。
成功したシュートと全く同じようにシュートすることができれば、必ず成功します。
現実的にはボールの微妙な違い、日々の体調や筋力の違いでずれることもありますが、直径45cmのリングに対して直径25cm(7号ボール)なら左右前後に10cmのずれが許されるので、常にど真ん中に決められる能力があれば、微妙な違いは誤差の範疇で収めることが可能です。
なので、再現性は大事な要素です。

レイアップのスタートからエンドまでの動作の順序とは、下記となります。
1、ボールキャッチ
2、ディップ(ボールをスタート(胸)の位置に移動する)
3、ステップ1歩目(ロング)
4、ステップ2歩目(ショート)
5、ジャンプ(上方向)
6、リフトアップ(ボールを上に持ち上げる)
7、リリース(シュートをはなつこと)
8、着地

この動きを毎回同じにすることで、シュートが外れた時の原因を分析することができます。

【レイアップの進入角度】

再現性の際に大事な要素となるのは、進入角度です。
動きが全部一緒だとしても、角度が毎回違うと異質のシュートになります。
直接リングインしかできない真横からのレイアップと、バックボードを使う際はリングを通り越す必要がある正面からのレイアップと、簡単にバックボードを使える45度からのレイアップでは難易度が異なります。

これはレイアップをうつたびに7号ボールを使ったり、6号ボールを使ったり、バレーボールを使ったりするのと同じことです。
シュートをうつたびにボールを変えていたら、ボールが原因なのか、フォームが悪いのかわからなくなります。

よって、まずは、同じ角度からうつことをお勧めします。
おすすめの角度はニュートラルゾーン(通称ブロック)を通り越すことを目安にすることです。
ニュートラルゾーンとは、フリースローの縦のラインにある謎の白い四角です。

レイアップをポロポロ落としてしまう人や、バスケをはじめたばかりのプレイヤーは、ニュートラルゾーンを目印にステップを開始してみてください。
再現性を重視し、正確なレイアップを身に付けることが重要だと思います。

【余談、ニュートラルゾーン、通称ブロック】

脱線しますが、ニュートラルゾーンの話がでてきたので、ついでに。

フリースローの縦のラインは、ハッシュマークという線と、ニュートラルゾーンという長方形で区切られています。
「全部、ハッシュマークで区切ればいいのでは?」と思っていましたが、ちゃんとした理由があります。

フリースローは片側に三人、反対側に二人まで入ることができます。
半端な一人はシューターをスクリーンアウトするために入ります。
もし、この三人目がいないと、オフェンス三人対ディフェンス二人という構図が生まれます。
この場合、わざとシュートを強くうって外して、オフェンスリバウンドの二人がゴール下にディフェンスリバンドを押し込むことで、高確率でオフェンスリバウンドを取ることが可能となります。
フリースローを決めるよりも、二点を狙った方が高い得点期待となります。
よって、三人目のリバウンダーをいれることで、ディフェンス側を優位にしました。

一番ゴールに近いディフェンスと二番目にゴールに近いオフェンスがスクリーンをしあってリバウンドを争うことになります。
ニュートラルゾーンはこの二人の間に存在します。
この二人は自分のリバウンドエリアを広げるために、押し合いが発生します。
もし、ニュートラルゾーンがなくハッシュマークだった場合、二人は密着した状態になるので、最大5秒のシュート前の時間から押し合いが発生します。
これは危険極まりない状態で、場合によっては乱闘に発展しかねません。
シュートをうつまでは過度な接触がおきないようにニュートラルゾーンを作り、二人の距離を離したのです。
何のためにあるのかわからないニュートラルゾーンも非常に大事な存在だったわけです。

【最も基本的なレイアップ】

話を戻して、レイアップ動作の順序を改めて見てみます。
1、ニュートラルゾーンからステップを開始する。
2、ステップはロング・ショートで上に飛ぶ。
3、利き手のオーバーハンドでうつ。
4、バックボードにあてる。
5、着地後はリングをくぐらずにオフェンスリバウンドに行く。
これでノーマークのレイアップに関しては完璧だと思います。

【バリエーションを豊富にする】

レイアップで再現性を求めましたが、それはあくまでもディフェンスがいない想定です。
実際にはニュートラルゾーンの上にはディフェンスがいるので、その角度からシュートがうてるとは限りません。
スピードを変えなければいけない時もあるし、ステップの幅もかえなければいけない時もあるし、オーバーハンドでは打てない時もあります。
女性に至っては、6号と7号を使い分けなければいけない可能性もあります。
なので、試合に合わせて様々なバリエーションのレイアップをマスターしていく必要があります。

応用レイップは、基本のレイアップがうてるようになってからではなく、平行してやっていくとよいと思います。
よく「基本ができないのに、応用ができるわけない」という人もいます。
しかし、私は、応用をやることで、別の角度から基本を理解することができると思います。
同じように「マンツーができないのに、ゾーンなんかできない」という人もいます。
同じく、ゾーンをやることで、マンツーの理解を深めることがあります。
なので、基本と応用は平行してやっていくことがおすすめです。
すでに基本のレイアップが必要ないと自覚している人も、レイアップを落とす度に、基本に忠実なレイアップでずれがないかを振り返ることをおすすめします。

【反復の成功による自信とぶつかることへの慣れ】

あとはひたすら反復して決めることで自信を持つことです。
接触に関しては、慣れの要素が強いので、積極的にディフェンスにぶつかってファウルをもらいつつ決めることです。
ディフェンスをかわして決めることは、成功率が高ければグッドプレイですが、単に接触を嫌がって逃げてうって外し続けるのは問題です。
シュートは入らない、ファウルももらえない、オフェンスリバウンドにも行けない、ディフェンスへのトランジションも遅い。
よけるレイアップは、メリットよりもデメリットの方が多いと思います。
なので、ぶつかってファウルをもらうことに慣れるのはレイアップにおいて大事な要素となります。

【ランニングシュートの種類】

最後にランニングシュートの種類をあげます。

〇手の使い方による分類
・オーバーハンド
・アンダーハンド
・ワンハンド(両手を持つことなくアンダーハンドで)
〇投げる位置による分類
・リングシュート(直接リングに入れる)
・バンクシュート
〇ステップによる分類
・レギュラーステップ(通常の二歩のステップ)
・ツーステップ(両足着地・両足ジャンプ)
・ワンステップ(片足着地・片足ジャンプ、別名パーカーステップ)
・ワンツーステップ(空中で保持、→片足着地・片足ジャンプ→両足着地・両足ジャンプ)
・ギャロップステップ
・ユーロステップ(ジグザグステップ)
・逆ユーロステップ(内側ジグザグのユーロ)
・ドノバンステップ(右からのレイアップの場合右足を左足よりも左に置いて、バックターン)
〇バックシュート
・レイバック(ボード側の手でバックシュート)
・リーチバック(ボード側の反対の手でバックシュート)
〇クラッチ
・ダブルクラッチ
〇フローター
・ティアドロップ(オーバーハンド、涙のしずくから)
・スクープ(アンダーハンド、掘るから)


こうゆう理論もありますよって感じで受け止めてください。
個人やチームにあった型をおすすめします。