JBA プレーコーリング・ガイドライン(20190401)

一般社団法人東京都バスケットボール協会指導者養成委員会から2019/3/12に通知されたプレーコーリング・ガイドラインです。
コーチがプレイヤーに対して暴言・暴力をすればテクニカルファウルとなることが明記されました。
スポーツの革命として、素晴らしい第一歩だと思います。
黄色背景が今回の追加部分記載です。

【ファウル】

ファウルとは

(1)基本的考え方
①ファウルには、触れ合いに対するファウル(NF/UF)と振る舞いに対するファウル(TF)、そして特に悪質でスポーツマンシップに反する行為(DQ:ファイティング含む)がある。
②NF/UFは5個で失格、そしてUF/TFはUF2個、TF2個、UF/TF各1個によって失格退場となるが、審判は「触れ合いに対するファウル」と同様に「振る舞いに対するファウル」にも毅然と判定する必要がある。
③審判は、JBAが推進する「クリーンバスケット、クリーン・ザ・ゲーム」を実践するため、コート上でのイリーガルな「触れ合い」および「振る舞い」に対するファウルを、競技規則およびプレーコーリング・ガイドラインに則り適切に判定することが求められている。

(2)触れ合いに対するファウル
審判員は、触れ合いに対するファウルの成立基準として、以下の 3 原則がある。
ファウルの3原則
①触れ合いの事実
②触れ合いの責任:リーガルガーディングポジション、シリンダー、etc.
③影響:オフェンスのR(リズム)S(スピード)B(バランス)Q(クイックネス)に影響のある触れ合いをファウルとして取り上げる。
審判は、よりゲームの質を高めるためにマージナルなプレー(ファウルの域に達していない度合いの触れ合い)の見極めも求められている。
審判は、マージナル or イリーガル or ノーファウルの判断について常に検証を重ねる必要がある。

(3)振る舞いに対するファウル
振る舞い(コンタクトのあるタウンティングを含む)に対するファウルについて、審判は感情的になることなく、競技規則およびプレーコーリング・ガイドラインに則りシンプルに判定する必要がある。
テクニカルファウルにおいても、他のパーソナルファウル等と比べて特別に扱うということはなく、リスペクトフォーザゲームの観点も含め、起きた振る舞いに対して判定をする。

イリーガルな手・腕・肘の整理(HAND-CHECKING 含む)

(1)基本的考え方
①オフェンス・ディフェンスのどちらかに、不当に有利・不利が生じないようにする必要があり、プレイヤーの FOM(Freedom of Movement:オフェンス・ディフェンス共にコート上を自由に動く権利)を確保し、クリーンでスムーズなゲームを提供する。
②イリーガルな手・腕・肘は、その後の試合(時間帯)でラフなプレーを引き起こす原因となるため整理する必要がある。
③イリーガルな手・腕・肘は、ディフェンスだけでなくオフェンスに対しても整理をする必要がある。
④イリーガルな手・腕・肘は、ディフェンスとオフェンスのリアクションではなくアクションに対して判定する必要がある。

(2)ディフェンスのイリーガルな手・腕・肘(HAND-CHECKING 含む)
①ボールを持っているプレイヤーに、両手を使う(ハンドチェックの適用)
②ボールを持っているプレイヤーに、片手でも肘が伸びた状態で触れ続ける(ハンドチェックの適用)
③ボールを持っているプレイヤーに、触れ続ける(ハンドチェックの適用)
④ボールを持っているプレイヤーに、短い時間であるが何回も触れる(ハンドチェックの適用)
⑤ポストディフェンスで、シリンダーを超えたアームバー
⑥オフェンスを手・腕・肘でロック(Lock)し止める
⑦ピック&ロール等のスクリーンプレーで、スクリーナーに対してすり抜けるために手・腕・肘を使う
⑧ピック&ロール等のスクリーンプレーで、スクリーナーやユーザーの次の動きを妨げるため手・腕・肘を使う

(3)オフェンスのイリーガルな手・腕・肘
①ボールを持ったプレイヤーがディフェンスを抜くために手・腕・肘を使って相手をロック(Lock)し止める
②オフボールのオフェンス(ポストプレー含む)が、ディフェンスの身体に対し腕を巻いて抑える
③オフボールのオフェンス(ポストプレー含む)が、手・腕・肘を使ってディフェンスの腕を巻く
④オフボールのオフェンス(ポストプレー含む)が、スペースを作りボールをもらうためにシリンダーを越えた手・腕・肘で
ディフェンスをロック(Lock)して止める

スクリーンプレー

(1)リーガルスクリーン
リーガルスクリーンとは、1)スクリーナーが止まっていて、2)両足が床についた状態で、3)シリンダー内で身体の触れ合いが起こるプレーのことである

(2)イリーガルスクリーン
①相手の動きにあわせて、動いてスクリーンをかける(Moving Pick)
②止まっている相手のうしろ(視野の外)でスクリーンの位置を占めスクリーンをかける
③動いている相手チームのプレイヤーの進路上に、相手が止まったり方向を変えたりして触れ合いを避けられるだけの距離をおかずにスクリーンの位置を占めスクリーンをかける
④シリンダーを越えた手・腕・肘、そして足・お尻等、身体の一部を不当に使ってスクリーンをかける

ブロッキング・チャージング

(1)リーガルガーディングポジション
①ディフェンスプレイヤーが相手チームのプレイヤーに対して、トルソー(向かい合い、両足を普通に広げてフロアにつけている)を占めている状態
②リーガルガーディングポジションには、真上の空間の権利(シリンダー)も含まれる

(2)ブロッキング
①ボールを持っているかいないかに関わらず、相手チームのプレイヤーの進行(FOM)を妨げるイリーガルな身体の触れ合い
②ボールを持っている(コントロール、ドリブル)相手チームのプレイヤー対して、先にリーガルガーディングポジションを占めることができない状態で身体の触れ合いが起きた場合(ただし、RSBQ を考慮する必要がある)
③ボールを持っている相手チームのプレイヤーが、レイアップショット等でジャンプをするために最後のステップをした後に相手チームのプレイヤーが着地する場所で触れ合いが起きた場合
④ドライブ等でインパクトが大きい触れ合いが起きた場合、オフェンスに明らかな責任がない時はディフェンスのファウルである

(3)チャージング
ボールを持っていてもいなくても、無理に進行して相手チームのプレイヤーのトルソーに突き当ったり、押しのけたりする不当な身体の触れ合い

(4)2人の審判が同じ触れ合いに関してそれぞれ別の角度からブロッキングとチャージングを同時に宣したプレー
事象の前後を決定することができないことから、クルー間でコミュニケーションをとり、「オフェンスに明らかな責任がない時はディフェンス
のファウル」とする。

プロテクトシューター

①オフェンス側プレイヤーがジャンプショットのため正当にジャンプをした場合、着地場所を確保する権利がある。(オフェンス側プレイヤーが着地する時、ディフェンス側プレイヤーの足等が触れ合いを起こすことは怪我の危険性もあるファウルである)
関連ケース(キックアウト)

②オフェンス側プレイヤーがショットをする時、シリンダーを越えて必要以上に足や手などを広げ、リーガルなディフェンスに触れ合いを起こした場合はシューターのファウルとして判定する(ショット前はオフェンスファウル、ショット後はルーズボールのファウルとしてプッシング)

③オフェンス側プレイヤーがショットをした後、怪我をすることを避けるために必要に応じて倒れることはフェイクではない。

アンスポーツマンライクファウル(UF)

アンスポーツマンライクファウルについては、下記(1)~(5)のクライテリアに該当した場合、試合中全ての時間帯(試合の終盤また得点差に関係になく)で適用し、アクション(起きた現象)のみで判断する。

(1)正当なバスケットボールのプレーと認められない、かつ、ボールに対するプレーでないと審判が判断したプレー
①ユニフォームを掴んで引っ張る行為は UF とする
②肘や足を過度に使うコンタクトは、相手プレイヤーに重大な負傷に繋がりかねない危険な行為であるため UF。
特に、首から上、顔面・頭へ肘を使ったコンタクトは非常に危険であるため DQ も判断基準とする
③肘を激しく振り回した場合は、ノーコンタクトでも TF の対象となる

(2)プレイヤーがボールにプレーしようと正当に努力していたとしても、過度に激しい触れ合い(エクセシブコンタクト、ハードコンタクト)と審判が判断したプレー
①ボールにプレーしている場合でも過度な接触とみなされたファウル
②手・腕などによる首から上へのファウルは、その度合いと選手の身を守るため危険なファウルと判断した場合、故意でなくても UF とする
③空中にいるオフェンスプレイヤーに対するディフェンスの危険なファウル
④笛が鳴ったあとや、ファウルの判定があったにも関わらず相手プレイヤーに続けてハードなコンタクトをおこすこと
⑤オフェンスのパンプ・フェイクなどで空中に飛んでしまった結果、いずれにせよファウルになると確信したあとで必要以上に相手のプレイヤーを掴んだり、腕を振り下ろしたり、激しく叩いたりすること

(3)オフェンスが進行する中で、その進行を妨げることを目的としたディフェンスのプレイヤーによる必要のない触れ合いと審判が判断したプレー
※このルールはオフェンスのプレイヤーがショットの動作に入るまで適用される
①ディフェンスしようとする努力をせず、ボールに直接、正当にプレーしていないケース
②正当なバスケットボールのプレーと認められない不要な接触
③リーガルガーディングポジションから外れ、ボールに対してではないファウルをすること
④リーガルガーディングポジションから正当にディフェンスをした結果のイリーガルな触れ合いはノーマルファウル
⑤オフェンスがボールを進めるのを止めることだけを目的とした不要なファウル

(4)速攻に出ているオフェンスのプレイヤーとそのチームが攻めるバスケットの間にディフェンスのプレイヤーが全くいない状況で、その速攻を止めるためにディフェンスのプレイヤーが、そのオフェンスのプレイヤーの後方もしくは横から起こす触れ合いと審判が判断したプレー(ラストプレイヤーシチュエーション)
※このルールはオフェンスのプレイヤーがショットの動作に入るまで適用される
①パスミス・パスカット等があってもボールコントロールが変わっていない場合のファウルは NF。ただしボールにプレーせず正当なバスケットボールのプレーでないと審判が判断した場合は UF とする
②速攻でのレイアップ等で、AOS に対してのファウルは NF とする
③ラストのディフェンスがオフェンスの前にいる状況で、抜かれたあと、後ろからファウルをした場合は UF とする

(5)第4 クォーターもしくは各延長(オーバータイム)残り2分の間で、ボールをアウトオブバウンズからスローインをするときに、まだボールが審判もしくはスローインをするプレイヤーの手にあるときに、コート上のディフェンスのプレイヤーが相手に起こした触れ合いと審判が判断したプレー(ラスト2ミニッツシチュエーション:L2M)
①オフェンスプレイヤーには適用されない

テクニカルファウル(TF)

ゲームは両チームのプレイヤー、チームベンチパーソネル、審判、テーブルオフィシャルズなどすべての人たちの協力によって成立するものであることを理解することが重要である。また、ゲームを尊重する精神(Respect for the game)に則り、状況と内容を判断し、審判は注意・警告を与えることなくただちにテクニカルファウルを宣してもよい。テクニカルファウルによって与えられるフリースローは1 本が挟み込みで行われ、ゲームはテクニカルファウルが宣せられた状況から再開される(新ルール)
(1)ベンチおよびプレイヤーが審判、テーブルオフィシャルズ、相手チーム、自チーム、観客に対して失礼な態度で接すること(ゲームを尊重する精神(Respect for the game)に反する振る舞い)
・威嚇や挑発行為
・継続的、もしくは大きなジェスチャーなどでゲームに対して異論を表現すること
・不適切な表現や言語
・ベンチがゲームの進行や運営に支障をもたらすこと(ベンチエリアで立ち続ける等)
・ボールや身に着けているものなどを強く叩きつけたり、投げたりすること
・用具・器具を破損するおそれのある行為(リング支柱を叩いたり、看板を強く蹴るなど)
・審判に対して、異論を唱えるためにボール等を投げつける行為
・観客に対して、不作法にふるまったり、挑発するような言動をとること
・コーチが選手(自チーム・他チーム含む)に対して、人権・人格、身体的特徴、自尊心等を否定する暴言・暴力的行為
・ゲームの手続き上の規則、運営・管理に関して違反すること

(2)ゲームの進行を遅らせる行為(ディレイオブゲーム)
・バスケットを通過したボールに故意に触れること
・笛が鳴った後などで審判にボールを返さないこと
・ボールがすばやくスローインされることを妨げること(1 度目はバイオレーション、2 度目以降もしくはゲームの残り2分では TF)

ディスクオリファイングファウル(DQ)

プレイヤーやベンチパーソネルによって行われる、特に悪質でスポーツマンシップに反する行為に対するファウル
(1)アンスポーツマンライクファウルから DQ へのアップグレード対象
※C1(正当なバスケットプレーと認められない:肘を使ったプレー)および C2(エクセシブコンタクト、ハードコンタクト)が対象
①通常のバスケットボールのプレーから逸脱して暴力行為と判断できるもの、または大きな怪我につながる危険な接触に関してはDQ の対象とする
②首から上、顔面・頭へ肘を使った過度に危険なコンタクト
③空中にいるオフェンスプレイヤーに対して過度に危険なコンタクト
※空中にいるプレイヤーに対してディフェンスせずに、激しくコンタクトすることを目的におこすファウルなど

(2)著しくゲームを尊重するべきことに反する行為
①審判に対して、異論を唱えるために身体接触を起こすことや、ボール等を強く投げつける行為は DQ の対象とする
②観客および観客席に対して、直接ボールや身に着けているもの、その他のものを力強く投げ込む行為などは DQ の対象とする
③その他、著しくスポーツマンシップの精神から逸脱している行為と判断したもの
④自チームに対しての暴力行為(インテグリティの精神)

ダブルファウル

(1)ダブルファウルとは、両チームの 2 人のプレイヤーがほとんど同時に、互いにパーソナルファウルをした場合であり、以下の条件が求められる。
①両方のファウルが、プレイヤーのファウルであること。
②両方のファウルが、体の触れあいを伴うファウルであること。
③両方のファウルが、対戦プレイヤー間で起きること。
④両方のファウルの罰則が等しいこと。(NF と UF のダブルファウルはない)

(2)連続したファウルに対する対応
NF 直後等に UF の C1C2 に該当する行為(過度に肘を使う、ユニフォームを掴み引っ張る等)があった場合は、両方のファウルを判定し記録する。

ファイティング

コート上やコートの周囲で暴力行為が起こった時や起こりそうな時にチームベンチエリアから出たチームベンチパーソネルに適用される
①暴力行為が起こった時や起こりそうな時にベンチエリアから飛び出してコートに入った場合など、その対象者にはディスクオリファイングファウルが宣せられ、失格・退場となる
②コーチとアシスタントコーチだけは審判に協力して争いと止める目的であればコートに入っても良い。
③ファイティングによりディスクオリファイングファウルはチームファウルに数えない
④IRS が稼働可能な場合、クルーチーフを中心に、何と誰を確認するべきなのかをクルー複数名で映像にて確認する

フェイク(FAKE A FOUL)

(1)基本的な考え方
オフェンス・ディフェンスともにファウルをされたようにみせかけ、ゲームに関係する人達を欺くプレーをなくす

(2)フェイクに対する対応
①フェイクが起きた責任エリアの審判がジェスチャー(片方の手のひらを2回招くように)を明確に示す(クルーで共有)
②ボールデッドで時計が止まった時に、該当選手及びベンチに対して、その近くにいる審判が速やかに明確に伝える
③フェイクが起きた後、ボールデッドで時計が止まる前に、同じチームの選手が再びフェイクをした場合は、2 回目のフェイクという理解で TF を適用する
④「ノーコンタクトのフェイク」は Excessive Fake(あまりに過度なフェイク)として、ただちに、TF を宣する(一発)。またそれに準ずる過度なフェイクもダイレクトテクニカルの適用対象とする
⑤ディフェンスファウル(または、オフェンスファウル)とフェイクが同時におきたと判断できる場合、ファウルを優先して判定する
⑥ディフェンスファウル及びオフェンスファウルを宣した場合、フェイクは適用されない
⑦オフェンス選手も、ファウルを受けたように見せるため倒れるなどのプレーはフェイクとする

(3)テクニカル時の対応
①選手に対して 1)手を上げ、時計を止める 2)フェイクのジェスチャーを示す 3)テクニカルを示す
②TO に対して 1)チーム及び選手の番号を示す 2)フェイクのジェスチャーを示す 3)テクニカルを示す

【バイオレーション】

トラベリング

(1)止まった状態でボールをコントロールしている場合
①ピボットフット(軸足)が確立されたあと、明らかにピボットフットを踏みかえること(軸足の踏みかえ)
②明らかにピボットフットがずれること(軸足のずれ)
③ドリブルを始めるとき、明らかにピボットフットが床から離れた後にボールをリリースすること(突き出しの遅れ)

(2)動きながら、足がフロアについた状態で、ボールをコントロールした場合
④動きながら、足がフロアについた状態でボールをコントロールした場合、フロアについている足は 0 歩目とし、その後2 歩までステップを踏むことができる。その場合、1 歩目がピボットフットとなる。
⑤ ④の場合、ドリブルを始めるときは 2 歩目の足をフロアにつける前にボールをリリースする必要がある。
⑥ドリブルが終わる時も、④のステップが適用される。
⑦ ④⑥の場合、連続して同じ足(右→右、左→左、両足→両足)を使うことはできない。
※両足とは、ほぼ同時にフロアに足がついた状態。

(3)明らかに空中でボールをコントロールした場合
⑧次にフロアについた足が、ピボットフットとなる。

(4)その他のケース
⑨プレイヤーがボールを持ったままフロアに倒れたり、床に倒れた勢いでボールを持ったまま床をすべること、あるいは横たわったり座ったりしているプレイヤーがボールを持つことはバイオレーションではないが、その後ディフェンスを避けるために転がったり、立ち上がることはトラベリングである。
⑩ボールを持って止まっているプレイヤーのピボットフットが決まった後に、さらに明らかにジャンプしどちらかの足がフロアについてからショットまたはパスをすることはトラベリングである。

ボールの扱い方

(1)ボールは手で扱わなければならない。
①ボールをこぶしで叩いてはならない。
②故意に足または脚(大腿部も含む)でボールを蹴ったり止めたりしてはならない。また、ボールを足で挟んでパスに見せかける
こともバイオレーションである。
③ボールが偶然に足やこぶしなどに当たったり触れたりすることはバイオレーションではない。

【その他】

IRS(インスタント・リプレー・システム)

各種大会主催者によって IRS が設置され稼動が可能な状況において、以下の場合、審判は該当するケースを確認するため IRSを使用する事が認められている。

【IRS を使用する場合の手順】
①審判は、判定(3or2、アウトオブバウンズのディレクション、NForUF 等)を明確にコート上で示す。
②審判(CC以外も含む)は、上記①の判定において、確証がない場合、かつ IRS適用のケースの場合、IRS を使用する判断の権限を持つ。その場合、当該審判は IRS のジェスチャーを明確に示しクルーに伝える。
③上記②において、ボールがデッドになったとき、IRS 使用が必要と判断した当該審判はクルーチーフにその旨を明確に伝える。
④クルーチーフはその判断を受け入れ、正式に IRS のジェスチャーを示してから映像の確認を行う。その場合クルーチーフは必要に応じて当該審判とともに映像を確認することができる。
⑤IRS の確認後、クルーチーフは決定した判断を観客・チーム・選手に明確に伝える。ただし、映像により明らかな実証が確認できなかった場合、コート上で下した審判の判定を優先しゲームを再開する。
⑥試合中に確認できる映像は、主催者によって公式に定められた IRS 映像のみである。

(1)各クォーターや延長(オーバータイム)の終了時
①成功したショットのボールが手から離れるのが、ゲームクロックのブザーよりも先だったかどうか
②以下の状況でゲームクロックに残す時間の確認
・シューターによるアウトオブバウンズが起きていた場合
・ショットクロックのバイオレーションが起きていた場合
・8 秒バイオレーションが起きていた場合
・クォーターまたは延長の終了よりもファウルが先に起きていた場合

(2)第4 クォーターや延長の残り 2:00 以下の時
①成功したショットのボールが手から離れるのが、ゲームクロックのブザーよりも先だったかを確認
②ショットがファウルよりも先だったかどうかを確認
③アウトオブバウンズのラストタッチの確認
④ゴールテンディングやインタフェアレンスが正しく判定されたかどうかの確認(新ルール)

(3)ゲーム中どのタイミングでも
①成功したショットが 2 点か 3 点かの確認
②ゲームクロックやショットクロックの誤作動が起きた時、訂正されるべき時間の確認
③正しいフリースローシューターの確認
④ファイティングが起きた時、誰がかかわっていたかの確認
⑤成功しなかったショットのシューターに対するファウルで、与えられるフリースローの本数の確認(新ルール)
⑥パーソナルファウル、アンスポーツマンライクファウル、ディスクオリファイングファウルの判定がそれぞれのクライテリア(基準)と合っているかの確認、またはテクニカルファウルとして記録することが適切かどうかの確認(新ルール)

不注意などでゲームを止めてしまった時の対応

(1)ルールで規定されている事象以外で不注意や誤ってゲームを止めてしまった場合
①クルーチーフを中心にその状況での情報を把握・共有し、どちらかのチームが著しく不利な状況とならないことを考慮したうえで、
最終的にクルーチーフが再開方法を決定する
②タイムアウトや交代についても、①を踏まえたうえでクルーチーフが認めるか認めないかを判断する。

【トラベリングについて】

(FIBA新ルール2017/8/15対応)

基本的な考え方

1、動きながらフロアに足がついた状態でボールをコントロールした場合、コントロールをした後に2歩までステップを踏んでも良い(0歩目の適用)。
その場合、ステップは2歩までの原則は変わらないため、0歩目→1歩目→2歩目とし、1歩目→2歩目→3歩目とカウントはしない。
※0歩目適用の場合、1歩目がピボットフットとなる。
2、ドリブルが終わる時も、上記【1】1の考え方が適用される。
3、上記1.2の場合、明らかに空中でボールをコントロールしたあと、フロアに足をつけた場合は、そのついた足が1歩目(ピボットフット)となる。
4、ドリブルをする場合
①止まった状態からドリブルをする場合、ピボットフットがフロアから離れる前にボールをリリースしなければならない。
②0歩目が適用され一連の動きの中でのドリブルの場合、2歩目がフロアにつく前にボールをリリースしなければならない。ただし、1歩目のピボットフットが確立した後に止まった状態ができた場合は、上記4①が適用される。
5、ショット及びパスの場合は、2歩目のステップ後にボールをリリースしてもよい。ただし、2歩目でジャンプした場合、次に足がフロアにつく前にショットおよびパスをしなければならない。
6、同じ足(右→右、左→左、両足→両足)を連続して使うことはできない。
7、両足とは、ほぼ同時にフロアに足がついた状態である。

リーガルな足の使い方

(〇印はピボットフット)

【フラストレーションを抱えた(冷静な心理状態でない)選手・関係者に対する接し方について】

2018 年度、高校ブロック大会の試合中に審判員に対する暴力行為がありました。
この行為は絶対にあってはならない行為であり、今後の対応については JBA として関係各組織(全国・県高体連および県協会)と緊密に連絡を取り合い協議しているところです。
しかしながら、現在も日本全国でたくさんの試合が行われています。そこで、我々審判が自分自身の身を守るため、選手や関係者が強くフラストレーションを抱えている(冷静な心理状態でない)と感じた場合の注意点について下記共有しますので、都道府県において各審判員に注意喚起をよろしくお願いします。
なお、皆様方におかれましては、試合運営上の知識のひとつとしてご確認いただき、引き続き競技規則に則ったクリーンな試合運営にご協力いただけますようお願い申し上げます。
JBA 審判としては、皆様に安心して審判活動をしていただけるように、またより良い試合開催が出来るよう継続して取り組んでまいります。

【確認・注意事項】
1.試合中において、選手・ベンチの状況(精神状態等)については、常にクルー内で情報共有する。
2.コミュニケーションをとるため選手および関係者に近づく場面があるが、選手および関係者の感情・表情等には充分注意をはらう。また、常に冷静に相手の感情などを察した言動を心がける(相手の感情を刺激するような言葉や行動を避ける)。
3.フラストレーションを抱えた(冷静な心理状態でない)と思われる選手に対しては、一定の距離を保つ(手の届かない間隔を保つ)。
4.ファウル、アンスポーツマンライクファウル、テクニカルファウル等を宣する時、フラストレーションを感じていると思われるプレイヤーや関係者に近づいたり、至近距離(手の届く距離)でファウルのジェスチャーをしたりしない。また、テクニカルファウル等のジェスチャーを相手の顔などに向けて出さない。
5.緊急事案等(暴力事案含)発生した場合は、主催している大会の審判長は都道府県審判長等を経由する場合もあるが、速やかに JBA に報告する。

【 抗議の取り扱いについて(2019 競技規則改正)】

基本的考え方

① 抗議については採用しない。
【理由】 1)抗議の認定条件また認定後の対応等、詳細な規定の整備が困難。
2)規定が整備できた場合でも、都道府県・ブロックで開催する各種大会において、規定に則り速やかに対応できる機関設置が困難。
3)全ての大会(特に U18/15/12)において保証金の設定は現実的ではない。
4)全ての大会において証拠として認定する公式映像の採用が困難、等。
② 当分の間は、抗議に繋がる重大なトラブル防止のための取り組むべき対策を最優先し実施する。
③ ただし、大会要項において上記1①1)~4)で示した対応が適切に実施できる大会においては、JBA の承認により採用する事ができる。

抗議に繋がる重大なトラブル防止のために取り組むべき対策

① JBA として取り組むべき対策
1)審判員のレベルアップ
試合におけるスコアおよびクロックを訂正する権限があるため、判定だけでなく、スコア・クロックの管理も含めた TO との連携に関するマニュアルを作成し研修等で周知徹底していく。
2)TO のレベルアップ
スコアシートの記載、スコアの表示、クロックの管理等を行う TO 業務がスムーズに遂行できるように、また、TO 技術とともにTO 同士また TO と審判員との緊密な連携についても示した TO マニュアルを作成し、研修に向けたカリキュラムを構築する。

② 主催団体として取り組むべき対策
大会責任者としてスムーズな大会運営を行うため、TO 育成に向けた研修会の実施、また実際に TO を行う U18/15/12補助役員のサポートのため TO 主任の設置および TO 主任研修の実施。そして重大なトラブルが発生した場合の速やかな対応ができる体制作り。

③ チーム(コーチ)として取り組むべき対策
試合(大会)のスムーズな進行に協力し、自チームに不利益とならないように、試合(大会)を成立させるため、
1)速やかにミスに対応できるようにコーチ自身もスコアおよびクロックの管理についての意識を高める。
2)コーチ自身が確認できない場合もあるため、スコアブックを記載するマネージャー等の指導育成をチームで実施。
3)明らかなミスがあった場合は、最初のボールデッドになった時、速やかに TO に確認を行う。ただし、プレー続行中に TO に確認を行うと、TO が更にミスをする可能性があるため避けなければならない。また、時間が経ってからの確認は審判・TO ともに確証がない可能性が高くなるため速やかな確認が必要。

重大なトラブルが発生した場合の対応

① 重大なトラブル発生時、主催団体(都道府県協会および都道府県連盟等)は速やかに審判委員会、TO 委員会および担当審判、担当TO と連携し、以下を進めていく。
② 事実確認 客観的事実に基づき事実確認を行う(証言だけでなく映像等により客観的事実の確認)
③ 事実確認に基づき原因の究明 原因の明確化(上記2①~③で示した取り組むべき対策を基に原因を明確にする)
④ 再発防止 上記3③を基に、再発防止のための具体的方策および各種指導(審判員含め)等の対応協議。
⑤ 上記3②~④を明確にした上で、競技規則44-2-6、46-9 に則り、成立した試合における得点等の訂正等は行わない。

バスケットボールの価値を高めるために

試合(大会)は、主催団体、チーム(選手・コーチ)、審判員、TO が各々の責任を果たし、お互いが協力する事で成立する。
そのためには、インテグリティの精神(誠実さ、真摯さ、高潔さ)に則り行動する事が重要である。
JBA の理念【バスケで日本を元気に】を実現するためには、バスケットボールに関わるバスケットボールファミリー全員がバスケットボールの価値を高めていくため、協力していく事が必要である。

【ゲーム中のコーチによるプレイヤーへの暴言、暴力的行為に対する対応方針(ガイドライン)】

JBA では、インテグリティの精神(誠実さ、真摯さ、高潔さ)に則り、「クリーンバスケット、クリーン・ザ・ゲーム」を推進していきたいと考えています。これは、ゲームに関わるプレイヤー、コーチ、レフェリー全ての協力でゲームの価値を高めようとする取り組みであり、ゲームを尊重する精神「リスペクト・フォー・ザ・ゲーム」にそったものでもあります。
バスケットボールのゲームは、ゲームに関わる関係者のみならず、観客の存在も欠かすことができません。プレイヤー、コーチ、レフェリー、観客も含めてゲームの価値を高める努力をすることが必要です。
そして、そのためにはコーチの振る舞い(行動や行為)も非常に重要になってきます。
コーチの振る舞いは、ゲームに関わる関係者(プレイヤー、レフェリー)に直接影響があるだけでなく、ゲームを観ている観客の方々にとっても大きな影響を与えます。
そこで、コーチの振る舞いについてある一定の基準を設けてテクニカルファウルの対象とし、ゲームの価値を下げない取り組みを推進することとしました。

【テクニカルファウルの対象となる振る舞い(行動・行為)】

コーチのプレイヤーに対する暴言

(1)人格、人権、存在を否定する言葉〈具体例〉 最低、クズ、きもい、邪魔、出ていけ、帰れ、死ね、てめえ、この野郎、貴様
(2)自尊心を傷つける、能力を否定する言葉〈具体例〉 役立たず、下手くそ、アホ、バカ
(3)身体的特徴をけなす言葉〈具体例〉 チビ、デブ
(4)恐怖感を与える言葉〈具体例〉 殴るぞ、しばくぞ、ぶっとばすぞ、試合出たくないの?

コーチの暴力的(攻撃的・虐待的含む)振る舞い(行動・行為)

(1)殴る・蹴るなどを連想させる行為
(2)プレイヤーと近接(顔の目の前、腕一本分より近い距離)して高圧的威圧的に指導する行為
(3)「おい!」「こら!」と大声でプレイヤーを高圧的威嚇的に指導する行為
(4)継続的、かつ、度を超えた大声でプレイヤーを指導する行為、いわゆる怒鳴りつける行為
(5)物に当たる、投げる、床を蹴るなどの行為

第三者が不快と感じる振る舞い(行動・行為)

(1)不潔な服装、裸足やスリッパでの指導