アドバンスドスタッツ解説

ボックススコアとベーシックスタッツ
アドバンスドスタッツ
アドバンスドスタッツをつけてみた
スタッツのケーススタディー


目次

【分析はアドバンスドスタッツで行う】

サッカーも近年は様々な指標をとりいれてきましたが、バスケットボールはサッカーと違い、多くのアクションが記録されます。
サッカーは試合を見ないと明確な勝因・敗因が分からないと思います。
しかしバスケットボールは、ボックススコアの数字を見れば、勝因・敗因に結び付く理由が分析できます。

分析方法としてはビジネス同様に3C(自分・相手・市場)分析が基本となります。
B3リーグの場合(品川の場合?)は、下記となります。
1、自チームと相手チームとの比較。
2、今回の試合と同じ対戦相手との以前の試合との比較
3、今回の試合と自チーム平均との比較
4、リーグ平均値との比較

その中でも重視すべき数字は、シュート成功率(2P、3P)、オフェンスリバウンド数、ターンオーバー数となります。

そして、ボックススコアで集計したデータを蓄積してスタッツ化し、後述のEFF(総合評価)やPPP(期待値)などのアドバンスドスタッツで分析すれば、チームへの貢献度が明確になります。

【アドバンスドスタッツ】

〇PG(Per Game、1試合平均)

PGはPer Gameの略で、1試合平均のことです。
PPGだと平均得点、RPGだと平均リバウンド、APGだと平均アシスト、SPGだと平均スティール、BPGだと平均ブロックシュートとなります。

〇Poss(Possession、ポゼッション)

「Poss」ポゼッション:攻撃回数です。
Poss=FTA×0.44+2PA+3PA+TO
シュートの本数とターンオーバーの数を足した数値が攻撃回数となります。

〇ePoss(effective Possession、エフェクティブ・ポゼッション)

「ePoss」エフェクティブ・ポゼッション:真の攻撃回数です。造語です。
Poss=FTA×0.44+2PA+3PA+TO-OREB
PossにはOREBが引かれる場合と引かれない場合が存在します。
どっちでもいいので、どっちかに統一して欲しいのですが、最終的に知りたいデータによって、使い分ける必要があります。
なので、計算式を分けるのではなく、データの名称そのものを使い分けた方がエラーが発生しにくいので、造語として使い分けました。(流行るといいな~)
ちなみに、PERの計算式内で出てくるPossはOREBを引くタイプです。

〇Pace(ペース)

オーバータイムが発生するとポゼッション数の(シーズンで見た時の)誤差が発生します。
ポゼッションが多かった理由が展開が早かったのか?延長が原因なのか見分けがつきません。
それを調整するのがペースとなります。
例えば、40分の試合に対して5分の延長であれば、「Poss ÷ 45min × 40min=Pace」となります。
NBAでは、こちらのPaceが良く使われます。

〇PPP(ポイント・パー・ポゼッション)

ポゼッション当たりの得点期待値となります。
得点 ÷ Possで簡単に算出できます。
PPP1.0点が目標(高めの設定)となります。

〇ORtg(オフェンス・レーティング)

ORtg = PPP×100となります。
100回のオフェンスで獲得した得点です。
個人とチームにそれぞれ適用できます。
例えば50回のオフェンスで60点取っていれば「60点÷50回×100回=120.0点」となります。
平均得点だけでは、成功率が高いのか、ポゼッション数が多いのかがわかりません。
オフェンスレーティングと平均得点を比較することでチームの特徴がわかりやすくなります。

〇DRtg(ディフェンシブ・レーティング)

100回のディフェンスにおける失点です。
当チームでも一回だけ計測してみました。
チームはORtg同様にディフェンスの回数と失点から計算できます。
しかし、個人の場合はもうちょっと複雑で、下記で計算します。
・失点した場合は、マッチアップしていた選手にポゼッション1.0と失点2.0。
・ピックプレイやヘルプなど二名の選手が絡む場合は、各選手にポゼッション0.5と失点1.0。(二等分)
・速攻やワイドオープンなど誰の責任とも言い難い場合は、全選手にポゼッション0.2と失点0.4。(五等分)
・ポゼッションが切り替わった場合、上記を考慮して、ポゼッションだけを1.0(1人) or 0.5(2人) or 0.2(5人)。

〇PPA(ポイント・パー・アテンプト)

一本のシュート当たりの得点期待値となります。
PPA = 得点 ÷ (3PA + 2PA + 0.44 × FTA)
PPAの場合は1.15等と表記します。
PPAはPPPと比べてTOV分のマイナスがないので、PPPよりも若干高めの数値となります。
また2PPA、3PPAなどとシュートの種類を分けることもできます。

〇TS%(トゥルー・シューティング・パーセンテージ)

一本のシュート当たりの得点期待値バージョン2です。
TS% = 得点 ÷ ((3PA + 2PA + 0.44 × FTA)×2) ×100
PPAの場合は1.20だった場合は、TS%の場合は60%となります。
TS%は全てのシュートが2Pシュートとして計算をしているので、PPAの半分の数値となります。
PPAの最大値が3.00なのに対してTS%の最大値は150%となります。

〇P30M(per 30 minutes、30分換算)

スタッツはプレイタイムによって左右されますが、プレイタイムを合わせることで比較しやすくします。
P30Mは、1試合分の時間にあたる40分の四分の三である30分に換算した数字(NBAだとP36M)です。
平均アシストが「APG」だったのに対して、「AP30M」等と表記します。

〇on +/-(on Plus-Minus、オン・プラス/マイナス、オン・加算/減算)

on +/-とは、個人のプレイングタイム中でのチーム得失点差のことです。
「on」が省略されて「+/-」とだけ表記されるのが一般的です。

例えば、プレイヤーAの出場時間帯にチームでは40得点の25失点だったら、+15です。
個人では20得点をしているのに、+/-が-10で、最終スコアでは100-95で勝ってるとしたら問題がある可能性を孕んでいます。
プレイヤーAのシュートセレクションが悪いのか、ディフェンスが悪いのか、たまたまなのか。
他にもプレイヤーBは数字上では目立ったスタッツをあげれていないが、+/-がチーム平均よりも高いとしたら、勝利につながる縁の下の力持ちということにもなります。

〇off +/-(off Plus-Minus、オフ・プラス/マイナス、オフ・加算/減算)

off +/-とは、個人がベンチにいる時間でのチーム得失点差のことです。
「on +/-」から「off +/-」を引くことで、自分の貢献度がよりわかります。
1分換算してから引くと、より貢献度がわかると思います。

【フォー・ファクター】

バスケットボールのオフェンス成功における4つの要因のことで、eFG%(40%)、TO%(25%)、OR%(20%)、FTR(15%)の順で重要と言われています。
バスケットボール版マネー・ボールと言われる「Basketball on Paper」の著者であるディーン・オリバーが数千試合分分析して設計した指標です。
下記に記載される計算方法は自チームのスタッツからだけでも導ける計算方法で、本来の計算方法とは異なることがあります。
フォーファクターについては下記ページをおすすめします。
バスケットボールを数字で分解する。~みんなに知ってほしいFour Factors~

Sports Analytics Labでは、Bリーグの2シーズン分のデータから統計を出して、5段階で評価しています。

スタッツを取っているCOSMOS女子の場合は下記です。
eFG:39%(BAD)
TO%:21%(BAD)
OR%:36%(ほぼGood)
FTR:13%(BAD)
プロと数字上で比較して、全体的な数値の悪さを、オフェンスリバウンドで補っている感じですね、ほぼ印象通りの結果です。

〇eFG%(エフェクティブ・フィールドゴール・パーセンテージ)

シュート本数に対する期待値のことで、2Pと3Pを点数ごとに均した真の期待値です。
eFG% =FGA ÷ (2PM × 2 +3PM × 3)

〇TO%(ターンオーバー率)

ポゼッションに対するターンオーバーの割合のことです。
どれだけミスを少なくシュートまで持ち込んだかを表します。

TO% =TO ÷ Poss

OR%(オフェンスリバウンド・パーセンテージ)

シュートミスに対するオフェンスリバンドの割合のことです。
高い得点期待値を生むオフェンスリバウンドをどれだけ奪取できているかを表します。

ORB% = OR ÷ (自チームOR + 相手チームDR)
もし自チームのスタッツしかとれてない場合は、下記の計算方法で近似値を算出することもできます。※フリースロー分の誤差が発生します。
ORB% = OR ÷ (2PA – 2PM + 3PA -3PM)
勿論DR%(ディフェンスリバウンド・パーセンテージ)も存在します。

〇FTR(フリースロー・レート、フリースロー奪取率)

シュートに対するフリースローの割合(フリースロー奪取率)です。
最も得点期待値の高いフリースローを狙って積極的にダイブしているかを計測します。
また高い被ファウル率は、相手をファウルトラブルに追い込むことにもなります。

FTR=FT÷FG

【オールインワン指標】

個人の総合能力を評価する指標となります。

〇EFF(efficiency、総合評価)

EFFとは、Efficiency(エフィシエンシー)の略で、総合評価です。
計算方法は、「EFF=得点+リバウンド+アシスト+スティール+ブロック-ターンオーバー-シュートミス」となります。
得点が高いプレイヤーが集まってもお互いに潰しあってしまい試合には勝てませんが、EFFが高いプレイヤーが集まればお互いを活かしあい試合に勝てる可能性が高まります。
特に得点よりもEFFが低いプレイヤー(例、20点、0EFF等)は、シュートセレクションが悪い可能性があります。
近年では、総合評価を計るのに相応しくないと言われたりしますが、計算式が単純でわかりやすいのでお気に入りの指標です。

〇PER(Plyaer Efficiency Rating、総合評価)

PERとは、Plyaer Efficiency Rating(プレイヤー・エフィシエンシー・レーティング)の略で、EFFの上級編となります。
計算方法は複雑で当ページでは説明できません。
B3(2021-22シーズン)PERをご覧ください。
従来のEFFとの大きな違いとしては下記です。
・プレイタイムやペースが考慮されている。
・スタッツの種類に応じて、評価を変えている。(例、アシストは2/3点等)
・リーグ平均、チーム平均なども関わってくる。
・ファウルが減算評価されている。(EFFではファウルはニュートラルである)
・15.0が基準となっている。(EFFには基準値がない)

〇PIE (Player Impact Estimate)

PIEとは、プレイヤーのスタッツがゲーム全体のスタッツと比較して、占めている割合を表す指標です。
ゲームで起きた出来事のうち何%がそのプレイヤーによってもたらされたかを表します。
全選手のPIEを合計すると100%となります。

PIE=(得点数 + フィールドゴール成功数 + フリースロー成功数 – フィールドゴール試投数 – フリースロー試投数 + ディフェンスリバウンド数 + (0.5 × オフェンスリバウンド数) + アシスト数 + スティール数 + (0.5 × ブロック数) – パーソナルファール数 – ターンオーバー数) / (ゲーム内総得点数 + ゲーム内総フィールドゴール成功数 + ゲーム内総フリースロー成功数 – ゲーム内総フィールドゴール試投数 – ゲーム内フリースロー総試投数 + ゲーム内総ディフェンスリバウンド数 + (0.5 × ゲーム内総オフェンスリバウンド数) + ゲーム内総アシスト数 + ゲーム内総スティール数 + (0.5 × ゲーム内総ブロック数) – ゲーム内総パーソナルファール数 – ゲーム内総ターンオーバー数)

〇そのほかのオールインワン指標

・WS/48(正式名称:Win Shares per 48 minutes、開発者:Justin Kubatko、データ:Basketball-Reference.com)
・FIC(正式名称:Floor Impact Counter、開発者:Chris Reina、データ:RealGM.com)
・Simple Rating(正式名称:同名 minutes、開発者:Roland Beech、データ:82Games.com)
・WPA(正式名称:Win Probability Added、開発者:Mike Beuoy、データ:Inpredictable.com)
・RPM(正式名称:Real Plus-Minus、開発者:Jeremias Engelmann, Steve Ilardi、データ:ESPN.com)
・BPM(正式名称:Box Plus-Minus、開発者: Daniel Myers, Steve Ilardi、データ:Basketball-Reference.com)
・RAPM(正式名称:Regularized Adjusted Plus-Minus、開発者:Joe Sill、データ:NBAShotCharts.com)
・RAPTOR(正式名称:Robust Algorithm (using) Player Tracking (and) On/Off Ratings、開発者:Jay Boice, Neil Paine and Nate Silver、データ:FiveThirtyEight.com)
・LEBRON(正式名称:Luck-adjusted player Estimate using a Box prior Regularized ON-off、開発者:Krishna Narsu, Tim/Cranjis McBasketball、データ:BBall-Index.com)
・EPM(正式名称:Estimated Plus-Minus、開発者:Taylor Snarr、データ:Dunksandthrees.com)
・DPM(正式名称:Daily Plus-Minus、開発者:Kostya Medvedovsky、データ:DARKO.app)

【ハッスルスタッツ】

今まで、数値として残せなかった努力の部分を数値化しよういった試みです。
NBAの2019-20シーズンでは、モントレズ・ハレルが受賞しました。

〇Screen Assists(pts)スクリーン・アシスト

得点が生まれたスクリーンの回数(得点)です。

〇Deflections(pts)ディフレクション

ディフェンスでボールに触った回数です。
ハドルではスティールもディフレクションとして重複して計測しています。
NBAではスティールを除いてるかもしれません。

〇Loose Balls Recovered、ルーズボール・リカバー

ルーズボールを取った回数です。

〇Charges Drawn、チャージ・ドロー

オフェンスチャージングを受けた回数です。
ハドルではオフェンスファウルを受けた全て(例えばムービングスクリーン等)を記録しています。
NBAでは純粋なオフェンス・チャージングのみを対象としていると思います。

〇Contested Shots、コンテステッド・シュート

ワンアームの距離でシュートチェックした回数です。

【アドバンスドスコアリング】

ハドルで計測できる上級の得点集計方法です。
伝わりにくかったので、動画を添えました。

〇TP(Transition Points)トランジション・ポイント

ディフェンスリバウンドもしくはターンオーバーから8秒以内に記録したフィールドゴールからの得点です。
ハドルでのデータでは、下記が除外されています。
・失点してインバウンズからの得点。
・タイムアウトやアウトオブバウンズなど一度デッドになった場合。
・オフェンスリバウンドからの得点。(やや曖昧、確認中)
・フリースローでの得点。

別途、NBAで良く使われるファストブレイク・ポイントというのがあります。
そちらでは、失点後からのインバウンズでもファストブレイク・ポイントとして認められています。
FIBA原文

Fast-break Points
Are points scored quickly (max. 8 seconds) and at full speed by a team before their opponent has
had time to set their half-court defence following a change in possession. The change of possession
may be due to a turnover, defensive rebound or a FGM and are all counted as fast-break points. The
points can come from a FGM and / or FTM(s) – including those resulting from any foul committed
during a fast-break situation. Fast-break points are also possible after an offensive rebound (for
example after a missed layup during a fast-break), assuming that at the moment the team scored
after the offensive rebound the defence was still not set.

〇PoT(Points Off Turnovers)ポイント・オフ・ターンオーバー

相手がターンオーバーした後に記録した得点です。
ターンオーバー後のポゼッションであれば、どのような状況でもPoTがカウントされます。
例えば、ディフェンスファウルをされて、インバウンズで再開しても、そのポゼッション内での得点であれば計測されます。
また、シュートファウルのフリースローでも計算されます。
オフェンスリバウンドの後も計測されます。

〇SCP(Second Chance Points)セカンドチャンス・ポイント

オフェンスリバウンドからの得点が記録されます。
オフェンスリバウンドが記録されたならば、その後、一度ボールがデッドになり、インバウンズしても記録されます。

〇PiP(Points In The Point)ポイント・イン・ザ・ペイント

ペイントエリアからの得点が記録されます。

【スタッツが見れるようになると】

スタッツが見れるようになると、どうして試合に負けたのか?なぜこのチームが好調なのか?が予測できるようになります。
リアルな現場の情報と、数字での俯瞰した情報をミックスすることで、より良い分析が可能となります。

スタッツに関しての指標は、まだまだまだまだありますが、時間の関係でここら辺にしておきます。
随時、更新していきます。


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