ドリブルの要素、メニュー(ストレート、クロスオーバー、ターン、ムーブ)

【ドリブルとは】

ドリブル (Dribble) とは、ボールを保持しているプレーヤーが、ボールを連続して床に弾ませながらコート上を移動する手段のことです。

【ドリブルの三要素】

ドリブルで相手を抜くためにはスピード×パワーの要素に、テクニックを足した3つの要素で考えています。

・スピード
ボールを前に進めるスピードです。
スピードが速ければ、相手を容易に抜き去ることができます。
ドリブルにおいて、もっとも必要な能力です。

・パワー
当たり負けしないフィジカルです。
フィジカルで負けてしまうと、ボールが抜けても体が抜けません。
また、スピードで負けていても、パワーで圧倒していれば、トルソーに入られなければ、相手をはじきながら抜くことが可能となります。

・テクニック
ハンドリングの技術やバリエーションです。
スピード×パワーで多少劣っていても、テクニックで翻弄すれば、相手を抜くことが可能となります。
ベテランになれば身体能力が劣ってくるので、テクニックを向上させる必要があります。

【ドリブルを使用するシチュエーション】

ドリブルは、シチュエーションに合わせて、意図をもって意識的に行います。
どういったシーンに、どのようなドリブルをするかを解説します。

・ドライブ
レイアップのためのドリブルです。
ボールをロストしないようにスピードとパワーが大事です。
アタックドリブルとクラブドリブルの二種類あります。

・プレッシャーリリース
後方に下がったり、密集地帯などから抜けるたりするために使うドリブルのことです。
ターンオーバーを避けるために行うので、コントロール(テクニック)が大事となります。

・ボールプッシュ
ボールを素早くフロントコートに進める時のドリブルです。
なによりもスピードが優先されます。
以前はパスで進めた方がよいとされていましたが、最近ではドリブルでボールプッシュする方が良いという考えも増えてきました。
ボールプッシュでは、ドリブルの方がパスよりもターンオーバーの確率が低いからです。
単にボールをフロントコートに進める場合は、キャリーと呼びます。

・ボールキープ
セットプレイを組み立てる時など、一定時間ボールを取られないようにするドリブルのことです。
ディフェンスとしては抜かれる心配はないので、プレッシャーをかけやすくなります。
その分、ハンドラーは、ボールをキープするテクニックが大事となります。

・ボールダウン
トップから45度にポジションを変えたい時や、そのままDHOしたい時にするドリブルのことです。
プレイの難易度としては低いです。

・ストーリング
試合終盤で勝っている時に、時間を稼ぐ時ためにするドリブルのこと。
ディフェンスは時間を消費させないためにプレッシャーをかけてくるので、コントロールが大事となります。

【ドリブルのポイント】

ドリブルする際の注意点を説明します。

・トラベリング対策
トラベリングで多いのがドリブルの突き出しです。
手からボールが離れてから軸足(ピポットフット)を動かします。

・ヘッズアップ
ドリブル中は顔をあげて、視野を確保します。

・ドリブルスタート
無意味にドリブルを始めるとターンオーバーのリスクが増えます。
なんのためのドリブルか、意図をもってドリブルをスタートします。

・ドリブルストップ
一度ドリブルを始めたら、無意味にドリブルを止めてはいけません。
ドリブルが止まった状態をデッドと呼び、ディフェンスにプレッシャーをかけられると5秒バイオレーションの対象ともなります。
シュートやパスなどの次のプレイをイメージしてからドリブルをやめ、速やかに次のプレイに移行します。

・チームリズム
特定のプレイヤーがボールを必要以上に持ち続けると、他のプレイヤーのフラストレーションが溜まり、リズムが崩れることがあります。
チームのリズムが狂うようなドリブルの乱用は避ける必要があります。

【ハンドリング1:主要4ドリブル】

実戦で高頻度で使用するのが主要4ドリブルです。
それ以外のドリブルはほとんどが主要4ドリブルの派生か組み合わせ技となります。
まずは、この4つがきっちりとできるようになりましょう。

・フロントチェンジ(クロスオーバー)
フロントチェンジとは、体の前方で、ボールを右から左に切り返すドリブルです。
主にディフェンスとの距離がある時に使用します。

・レッグスルー(ビトウィーン・ザ・レッグ)
股の下を通して右から左に切り返すドリブル。
ディフェンスが手を伸ばすとボールに触られる距離の時に使用します。

・ビハインド・ザ・バック
前方にあるボールを、体の後方を通して右から左に切り返すドリブル。
ディフェンスとの距離があまりない時に、そのまま抜きさる場合に使用。

・バックターン(リバースターン)
前足を軸に体を後方に一回転しながら、ボールを逆の手に持ち替えて、そのまま抜き去ります。

【ハンドリング2:縦のずれ】

1on1で、縦のずれを作るハンドリングテクニックです。
縦のずれとは、ストレートやステップバックして前後にずれを作ることです。

・ストレート
前方にドリブルすることです。

・ツーステップ・ストレート(ツー・ゴー)
軸足を組み替えて(右方向なら、右足を横に出して左足を前方に出す)ストレートするドリブルのことです。

・プルバック
ボールを前方に出してから後方に引くドリブルのことです。

・リトリートドリブル(バックアップドリブル)
後方に下がるドリブルのことです。
リトリートとは、避難という意味です。

・ステップバック
後方にジャンプするステップのことです。
一般的には、このままジャンプシュートにつながりますが、そのままドリブルすることも可能です。

・クローズ・ザ・ディスタンス
ディフェンスとの距離があって抜きにくい場合、少しずつ距離(ディスタンス)を詰める(クローズ)ステップです。

・ヒットバック
後方に下がってディフェンスとの距離を十分につけてから、助走をつけてトップスピードで抜き去ることです。

【ハンドリング3:横のずれ】

1on1で、横のずれを作るハンドリングテクニックです。
横のずれとは、フロントチェンジやインサイドアウトで横にスライド(フロート)してディフェンスをインラインからずらします。

〇クロスオーバー系

広義のクロスオーバードリブルとは、ボールを右から左に切り返す(クロスする)ドリブルの総称です。
狭義のクロスオーバードリブルとは、フロントチェンジ(場合によっては抜き去るための素早いフロントチェンジ)を指します。

・キラークロスオーバードリブル
右方向に大きく体全体を動かしてから、素早く左にフロントチェンジするドリブルです。
ディフェンスを抜き去る時に使用します。
左右の幅が広ければ広いほど、ドリブルを低く速く切り返すことができます。
ティム・ハーダウェイが使い手として有名でした。

・逆足クロスオーバー

・プッシュクロス(フロントチェンジ・オーバー)
右手で持ったボールをそのまま体の左側に持っていき、反対側にチェンジするドリブルです。
ディフェンスの構えが低く、フロントチェンジのスティールを狙っている時に使用します。

・ダブルクロスオーバー
一回目のクロスオーバーを囮に、再度クロスオーバーして元の方向で抜き去ります。
アレン・アイバーソンが使い手として有名でした。

・バックチェンジ
体の後方にあるボールを、右から左に切り返すドリブル。
ディフェンスとの距離が全くない時に使用。
抜く時ではなく、フロート(横にずれる)する時や間を作りたい時に使用する。

・ダブルバックチェンジ
バックチェンジを二回やります。

・バックレッグ
レッグスルーが内側から外側だったのに対して、バックレッグは外側から内側に通してドリブルします。

・インサイド・アウト(イン・アンド・アウト)
フロントチェンジのふりをして、元に戻すドリブルです。
フロート(スライド)して、ディフェンスをインラインから外す時に使います。

〇ターン系

・ロール
バックターンの手を入れ替えないで行った場合、ロールと呼びます。
バックターンとロールをあまり区別しないと思いますが、指導教本で分けて説明してたので念のため。

〇特殊系

・シャムゴット
ボールを前に出して、反対の手で戻す
ゴッド・シャムゴッドが広めた技です。

・ビハインド・シャムゴット
ビハインドザバックとシャムゴットの組み合わせです。

・シャムゴット・バックレッグ
シャムゴットとバックレッグの組み合わせです。

・クロスジャブ
ボールを右から左、右足を右前に出してクロス

・ジグ・バック
ジグザグ&バックチェンジですが、動画でご確認ください。

〇ストリート系

遊びとして使用してください。

・スリッピンスライド(スリップ&スライド)
レッグスルーのまま手をついて横方向に転倒してフロートし、そのまま一回転して立ち上がるドリブルのこと。
実戦向きではなく、フリースタイルやストリート向きの技術です。

偶然のニアリースリッピンスライド

・スリッピンスライド・フロムチェンジ
スリッピンスライドで反対方向に回転して、元に戻るドリブルのこと。

・ホワールウインド
ロールとビハインド・ザ・バックの組み合わせです。
ホワールウインドとは、旋風、竜巻という意味です。

〇シグネチャームーブ系

NBA選手のシグネチャー(署名)がついている組み合わせ技です。

・カイリー・ムーブ
カイリー・アービングのムーブです。
バックチェンジ→ビハインドザバック→ドライブ→バックレッグ→ステップバックの流れです。
詳しくはBe a ballerさんの動画でご確認ください。

・ハーデン・ステップ
ジェームズ・ハーデンのクロスオーバー+ステップバックの組み合わせ技です。
ゼロステップも使って、かなり後方にステップバックしています。

・クロフォード・ムーブ
DINOSAUR SAMU(阿部理)クリニックでご指導いただいたムーブを練習用に少しアレンジしました。
練習用としては、フロントチェンジ→レッグスルー→バックチェンジ→バックレッグ→ビハインドザックで反対の手に変えて繰り返します。

・ギャンブラーズ・ムーブ改
ギャンブラーズのハンドリング練習でやっているムーブを個人的に改良しました。
試合での実用性はありません。
「インサイドアウト→フロート→ツーゴー→バックチェンジ→フロントターン→ロール→シャムゴット」ここまでがギャンブラーズムーブ。
ここから「シュートヘジテーション→レッグスルー→シェイキンベイク」を勝手に無断で足しました。

〇シェイク&ベイク系

・シェイク&ベイク
シェイク・アンド・ベイクを直訳すると「振って焼く」です。
SHAKE ‘N BAKEという商品名のチキンにつけるパン粉があるそうです。
語源はここからみたいなので、深い意味はありません。
広義には、何か凄いハンドリングプレイという意味みたいです。
狭義には、ジャマール・クロフォードのバックチェンジ+ビハインドボディ+ギャロップステップのシグネチャームーブを指します。

・シェイク&ベイク・ダブルバック
ジャマール・クロフォードの別のバージョンのシェイク&ベイクです。
区別するために、「シェイク&ベイク・ダブルバック」と命名しました。

次の3つは造語です。
・シェイク&ベイク・フロントチェンジ
バックチェンジでシェイク&ベイクをやるのが最初難しかったので、フロントチェンジで練習してました。
これは簡単なので、練習にいいと思います。
フロントチェンジ+アラウンドザボディ+ギャロップステップ。

・シェイク&ベイク・レッグスルー
レッグスルー+アラウンドザボディ(ビハインドザボディ)+ギャロップステップ。

・シェイク&ベイク・インサイドアウト
インサイドアウトなので、これだけ跳ぶ方向が反対になりますね。
インサイドアウト+アラウンドザボディ(ビハインドザボディ)+ギャロップステップ。

【ハンドリング4:タイミングのずれ】

1on1で、タイミングのずれを作るハンドリングテクニックです。
タイミングのずれとは、スピードに緩急をつけたり(チェンジ・オブ・ディレクション)、通常しない動きを挟むことで、タイミングをずらすことです。

・スイングドリブル
ボールを上下につくのではなく、円を描くようにまわしながらつくドリブルです。

・ヘジテーション
ドリブルを維持したまま、ドリブルを止めるようなそぶりを見せることです。
ヘジテイションとは、ためらうという意味です。

・シュート・ヘジテーション
ヘジテーションで止まる素振りをシュートフェイクに見せるムーブです。

・ロッカーモーション
ロッキングチェアのように前後にフェイクする動きです。

・ハーフスピン
途中までスピン(バックターン)をして、元に戻す(フロントターン)動きです。
緩急をつけることが大切です。

・ヒップ・スウィブル(ナッシュムーブ)
ディフェンスに垂直になり、ボールをプロテクトします。
骨盤を捻って平行になり、空間を作ります。
そのタイミングでツーステップを踏んで(ダム、ダダン)仕掛けます。
スティーブ・ナッシュが好んでするムーブです。
ヒップ(お尻)をスウィブル(旋回・回転)という意味です。

・ペイトンムーブ
ゲイリー・ペイトンが使っていたムーブです。
ロールターン+チェンジオブペース

・スタッターステップ(ハーキーステップ)
ドリブル中にハーキーをします。

・スキップステップ
ドリブル中にスキップします。

・ギャロップステップドリブル
オフドリブルではなく、ドリブル中にギャロップステップをして、そのままドリブルを継続します。
指導教本に載っていたので、一応。

うーん、試合でやったことないので、イメージがわかないけど、こんな感じですかね?
画像の方をご参考にしてください。

・パンチストップ(ポケットドリブル)
足が着くと同時に同じ手でドリブルして止まります。

・シザースステップ
ドリブル中に左足を右足側に蹴りあげ(シザース・はさみ)てから、ワンドリブルしてポケットドリブルします。

〇ピッチング系

ピッチングとは、ボールをはじくように突くことです。
クロスオーバーなどのドリブルの前に、一回指先で弾いて、タイミングをずらすことを目的としています。

・ピッチング・クロスオーバー

・ピッチング・レッグスルー

・ピッチング・バックチェンジ

【ドリブルがうまくなるためには】

ドリブルがうまくなるためには、ドリブルを強くつくことです。
ボールが手にくっついている時間が長ければ長いほど、ボールを自在にコントロールしやすくなります。
練習ではミスしないように手につくのではなく、ファンブルしまくっていいので、強くつくことをおすすめします。
また、普段ドリブルをしないようなプレイヤーでも、ドリブルを通してハンドリングを磨くと、キャッチやシュートなどでもボールをコントロールする器用さに良い影響がでます。
センターがディフェンスリバウンドからボールプッシュしてそのままレイアップを決める(コース・トゥ・コース)姿も最近はよく目にするようになりました。
全ポジションのプレイヤーがハンドリングの練習をすることをお勧めします。